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01-3
海沿いの道は昼間は車通りが多いが夜になると途端に少なくなる。
そのせいかスピードを出した車が多くて夏になると必ず数件の人身事故が起こる。
その道を誰かと、それも男の人と歩くなんて悠は不思議な気持ちになっていた。


「何やってたんだよ」
「んー…瞑想?」
「明らかに嘘だろ」


悠が笑うと黒羽も低い落ち着いた声で笑った。
同級生とはいえ、よく知り合ってない人と話すのが苦手なはずが自然と話せている。
そんな穏やかさが周りから慕われる理由なのかもしれない。
そう悠は思った。
だから言ってしまったのかもしれない。


「私って高校でも浮いてるじゃん。それって家でも一緒でさ。何か理由はわからないけど自分の居場所っていうか、立ってる場所が不安定な気がして。それが周りからも感じ取れるのかもしれない」


歩き始めてやっとすれ違った車のヘッドライトに照らされた悠は俯いていて、背の高い黒羽からは全く表情が見えなかった。


「高校に入ってからもっと酷くなって見かねた兄貴が教えてくれたの、サーフィン」
「何か変わった?」
「変わらないけど海に出てるときは不安定な感じはしない。ちゃんと私はここにいるんだって感じる」


黒羽は難しいな、と思ったがサーフィンをテニスに変えたら何となくわかる気がした。
研ぎ澄まされた神経や、溢れんばかりの高揚感。
それは同じなのかもしれない。

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あきゅろす。
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