02-09
「ほら、そうなんだ」
「…気がすんだ?」
声の主は二人の間を遮り、床に落ちた教科書などを広い悠の机に置く。
「たとえそうであっても、ここにこうして居ることは勇気のいることだと思うけど。それは貶すようなことじゃないんじゃない?」
「あんたには関係ないじゃん!!」
「それはあんたも同じ。部外者でしょ?さ。これでオシマイ」
それに合わせたように予鈴が鳴り響く。
まだ何かを言いたそうな表情をしながら女は席へと戻り、廊下に出来ていた人だかりもなくなっていく。
悠が助け舟を出してくれた彼女を目で追っていると、斜め前の席に座った彼女は視線を感じて振り返った。
「大丈夫?」
「うん、ありがとう」
悠の返事を聞いて彼女は微笑んだ。
それから何かと気をかけてくれるようになった彼女は桜井果歩と名乗った。
人懐っこい見た目の割には性格はサバサバしていて、悠にはとても付き合いやすい相手だった。
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