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01-2
風が強く吹き高くなった波の名残が倒れている人の足を濡らす。
風にあおられた雲が月を隠して辺りが暗くなる。
自然といつもより狭くなっている歩幅で近寄って顔を覗き込むと、見覚えがある顔だった。
恐る恐る声をかけてみる。


「大丈夫か?」


しかし返事はない。
しゃがみ込んで肩を揺するとうっすらと目を開けて黒羽を見た。


「具合悪いのか?」
「あ…れ、黒羽くん?」


質問を質問で返された上に自分の名前を呼ばれて驚いたが、すぐに何故かわかった。


「南浦」
「大丈夫。どうしたの?」
「人が倒れてたから…ったく、驚かすなよ」


一緒のクラスにはなったことはないけど中学からの同級生で顔はお互いに知っていた。
安堵から目に見えて肩を落とす黒羽を見ながら悠は身体を起こす。
そして自然に笑みを零した。
黒羽は一息ついて立ち上がると悠に手を差し出す。


「立てよ。送ってやるよ」


手についた砂を払って悠はその手を取った。
いつの間にか雲から月が再び顔を出し、歩き始めた二人を照らしていた。

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