02-02
「今日、遅刻なんだよね。中途半端な時間に行くのも嫌だし、ちょっとサボるの付き合って」
亮は返事を聞くことなく海に向かって歩き出した。その背中は肯定以外の返事を許してくれそうもない。亮はいつもそうだった。
一人暮らししている兄の所に転がり込むまで住んでいた家は亮の家と近くて、当然のように幼なじみとなった。そのくされ縁も中学校までで、私が家を出てからはほとんど会うことはなかった。
だから亮とこうして歩くのは懐かしいようでちょっと恥ずかしい、なんとも言えない気持ちになる。
「最近バネと仲が良いみたいじゃん」
「あ、まぁ…」
そういえば二人ともテニス部だっけ、なんて思っていたら亮は誰かが砂浜に持ってきたベンチに座って、私を見据えていた。
「あぁ見えて人気あるんだよ」
「褒めてるんだか、貶してるんだか」
「いやいや、褒めてるって」
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