01-15
「今朝はごめんね。」
とても短い言葉なのに悠の心臓は全力で動いていた。
まさしく飛び出してしまいそうなほどに。
顔を向けることが出来ず目だけで様子を伺うと、目が合ってしまい反射的にそむけてしまった。
「嫌われたかな?」
「違うっ!」
「わかってる」
予想外の切り返しに呆然としてしまった悠を見て黒羽は笑った。
状況が飲み込めない悠は首を傾げる。
「嫌いな奴に謝ったりしないだろ?」
大丈夫だよ、と付け加えて黒羽は悠の背中を軽く叩いた。
「気にすんな。学校じゃなくても会えるからさ」
黒羽の笑顔を見ながら悠は頷く。
そして自分の中の抑えきれない気持ちに気付いた。
会ったばかりだと言うのに別れを思いせつなくなる理由はたったひとつ。
恋に落ちたのだ。
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