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01-12
神妙な空気を一掃したのは二人の携帯電話のメール着信音だった。
同時になりだした訳は大体想像出来たが、一応確認をしてみると予想通りで二人の顔が緩んだ。


「終わるには早くないか?」
「ま、訳は想像出来るけどね」


そんな事を話しながら昇降口に行くと、テニス部の面々が二人を待ち構えていた。
ご丁寧に二人の荷物まで抱えて。
その真ん中で仁王立ちした葵は頬を膨らませながら二人を睨んだ。


「おっそーいっ!!今日は泳ぎに行くって言ってたじゃん!」
「まぁまぁ」


それをなだめる佐伯は意味ありげな視線を黒羽に送っていたが、本人は気付いていないフリを決め込んだ。
佐伯は視線を隣にいる亮に移動した。
視線を送られた亮は首を横に振る。
それを見て佐伯は残念というよりはつまらなさそうな顔をした。


「ところでさ」


ぶつぶつ言いながら歩く葵の背中を見ながら言う。
投げかけられた亮は黙って続きを待った。


「南浦とどういう関係?」


ずっと気になっていた事を聞けてすっきりした反面、返ってくる答えを想像して後悔した。
それを見透かしたような表情の亮を見て、黒羽はますます聞くべきじゃなかったと思っていた。


「詳しい事はまた今度。ひとつ言えるのは想像してるような関係ではないってことかな」


そう言いながら笑う亮は面白がっているように見えたけれど、どこか知られたくないことを必死に隠しているようだった。
だから黒羽は追求することも出来ず、海へ続く道を歩いた。

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