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01-10
居心地が悪い気がしていた。
何も咎められるようなことはしていないのに。
自販機でジュースを買いながら黒羽はそう思う。
最初は複雑そうな表情だった亮もいつものポーカーフェイスに戻って、楽しそうにいきさつを聞いてきた。それがまた気分を助長させている。


「他の奴らには言うなよ」
「はいはい」


口止め料代わりに渡されたジュースを亮は一気に半分飲むと、居心地悪そうにしている黒羽を見た。
今まで今日のような告白劇がなかったほうが不思議だった。
年中無休で色恋沙汰を起こしている佐伯までとはいわないがそれなりに人気がある。
もちろん彼女がいたこともあったけれど高校になってすぐに別れたと聞いたのが最後で、ほんの数人の勇気ある告白も受け入れたと聞いたことがない。


「もったいねー」
「は?」
「バネさんは青春真っ盛りを無駄遣いしてるって」


亮の言葉に不快感をあらわにした。言いたいことはわからなくもないけれど、無駄遣いはないだろう。
そう思いながらジュースを飲み干す。
横目で見た亮が不敵に笑ったような気がした。

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