01-1 真っ暗な海。 そこに揺らめく月。 波のせいでゆらゆらと形を変えていくのを見ていると柄にもなく無性に不安になる。 波の音と自分の吐息。 それしか聞こえなくて一人ぼっちのような感覚に陥る。 気分転換にと思ったが、場所を間違ったのかもしれない。 そう黒羽は思った。 帰ろうと思い、体の向きを道のほうへと動かすと人影が視界にうつった。 制服を着たまま砂浜に寝転び、起き上がる気配がない。 数歩近寄っても変わらず、それが女だとわかった。 まるで死んでいるようだ。 そう思うと同時に背筋が冷たくなった。 [次#] [戻る] |