†薔薇契約 〜engage〜† ◆7◆ …………… −−城内、地下倉庫…−− 山のように積み重なった本の中に紛れ、ルカは様々な資料を読みふけっていた。 そこで、彼は目的の情報が記載されて一冊の本を見つけた。 (……!あった…この記録だ…) その記録に載っていたのは、ヴァンパイア一族の中でも有力な貴族地位にいたミュラー家についてだった。 (よし、これを後程ルイス様に渡さないと…) 本の表紙についた埃を払いながら、ノアは立ち上がった。 その時…… 「…こんな所で何をしているんだい?」 背後から何者かの声がした。 「!!」 ノアは慌てて声のした方を振り向いた。 そこには、漆黒の長い髪をかき上げて柱に寄りかかる一人の男がいた。 彼は、ワイン色のスーツの上に黒色のファー付きコートを着ている。 「…!。アーク〜!ボクは今丁度探し物してたとこだよ〜。もう終わったけどね!…アークは北国の任務に行ってたんでしょ?いつ帰ってきたの?」 「つい先程ね…。そういえば、ルイスが戻ったそうじゃないか」 「そうなんだよ〜。いきなり帰ってきたんだよ!まぁ、詳しい事は後で話すよ。あの人本当にマヌケで笑っちゃうから」 ノアはそう言って意地悪く微笑んだ。 「はは…、楽しみにしているよ。とにかく、無事で何よりだね。…ん?ノア、その本は…」 アークはノアが抱えている本を指差した。 「あ、コレは…。ミュラー家の歴史記録書だよ」 「ミュラー家?…確か、結構前に滅んだ家系の…。それを調べてどうするんだい?」 アークは怪訝な顔で聞いた。 「む〜…。まぁ、アークも僕と同じくルイス様の側近だし…話しても良いかな…」 「?」 「実は……」 ノアはその場で今までの経緯を話した。 ……………… [*前へ][次へ#] [戻る] |