†薔薇契約 〜engage〜† ◇7◇ …………… 目を閉じている間、私は夢を見た…。 幸せに暮らしていた、今までの夢を… その夢では、パパもママも優しくて… 私は、現実の世界に戻りたく無いと願った… けれど、夢とはいつか終わるもので… 私は仕方無く、暗闇に身を委ねる事にした… …………………… 「………ん、此処は…?」 目を開けると、どうやら自分はベッドの上に横になっているようだった。 むくり、と上体を起こし、ボンヤリしたまま辺りを見渡す…。 (ここは、どこ…?) そう思った瞬間、またもや激しい動悸がイヴを襲った。 −ドクン… −ドクンッ… 「はぁ、はぁ…っ…く、苦し……」 苦痛に顔を歪め、イヴは胸を抑えてベッドにうずくまった。 (…っ…頭や…視界がグラグラする…) 「…イヴ、目が覚め…、…!…大丈夫ですか!イヴ」 ルイスは慌ててベッドの上のイヴの肩を抱いた。 「…っはぁ…。ルイ、ス…?…ここ、どこ…」 「安心して下さい、イヴ。此処は、僕の城です」 「…ルイスの…?そうな…、っ!はぁ、はぁ……」 「無理をしないで下さい、イヴ…。…死体の血を飲ませるなんて…、あの男が余計な事をしたせいで…」 「…パパは…、無事?殺…してないよね?」 その問い掛けに、ルイスは驚いた。 「…貴女は…自身が辛い時にも関わらず、あの様な野蛮な男の心配をするのですね…。本当に、優しい方だ…」 そう言って、ルイスは自身の手でイヴの額に浮かんだ汗を拭った。 −ドクン −ドクンッ −ドクンッ… 「…っ!!!!!あ…」 突如、イヴは喉が急激に渇くのを感じた。 (何…これ…何だか…変…っ) ヒュウヒュウ、と喉の奥から乾いた音がする… ルイスはイヴの様子を見ると、おもむろに自身の着ていた白いシャツのボタンを外していった…。 「…っ…ルイス…?な、にを…」 息も絶え絶えのイヴを、ルイスは優しく自身の膝の上へ乗せると、イヴの瞳を見詰めながら、 「…イヴ、僕の血を…吸って下さい」 と耳元に囁いた。 ルイスのその言葉は、ゾクリ、とイヴの耳に響いた。 「…ぃや、…私…、吸うなんて、出来ない…」 「…大丈夫、首の辺りは肉が柔らかいからすぐに吸える筈です…。貴女はもう、血を吸わねば生きていけない体となったのです。…さぁ…」 そう言って、ルイスは首筋をイヴの顔の側へと近付けた。 ルイスの体から香っているのか、彼からは甘くて良い匂いがした。…思わず、その香りにイヴは眩暈がする。 そして、無性に彼の首筋に噛みつきたくなる衝動を覚えた。 「はぁ…、も、もう…駄目…」 イヴは、勢いよくルイスの首筋に噛みついた… [*前へ][次へ#] [戻る] |