迷った結果がこれだよ
逸る心を抑えながら私は図書室に向かっていた。
今日は雷蔵が当番で、貸出カードを投げて来る先輩も居ないはずだから少しくらい喋っても大丈夫だろう。というか、雷蔵が当番じゃなかったら行かないんだけど。
私は密かに雷蔵に恋心を寄せていたりする。
図書室を見渡すと、誰も居なかった。そのせいだからなのか、当番であるはずの雷蔵は机に顔を伏せてすっかり眠ってしまっていた。もしかしたらまた何か悩んでいて寝てしまったのかもしれない。だとしたら雷蔵らしいなぁ。
頬が緩むのを抑えられずに私は向かいに座って彼を見つめた。
そっと、彼の髪に手を伸ばす。猫っ毛な彼は雨の日とか苦労しているようだったけど、触り心地の良いこの髪に触れるのが私は好きだった。
すると触れ過ぎたのか、雷蔵が目を覚ましてしまった。
「おはよう、雷蔵。」
「ん……おはよ……。」
まだ眠たいのか、目を擦る姿が猫みたいで可愛らしかった。
「また考え事してて寝ちゃったの?」
「……うん。」
まだうつらうつらしている彼の言葉はゆっくりだ。それがまた可愛らしい。
「今度はなぁに?」
くすくす笑いながら聞いた私は、彼の答えに思わず目を見開いた。
「名前に……いつ好きって言おうか、迷っちゃって……。」
「えっ?」
「あ。」
完全に覚醒した彼と目が合った。
迷った結果がこれだよ……嬉しいです
20100121
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