嘘吐き少女 思わずで口付けてしまうなんて間違い以外何ものでもない。 「名前……?」 ほら、藤内は顔を赤くして驚きのあまり目を見開いているじゃない。はしたない女だと思われたよ、絶対。 「藤内……。」 ずっと彼の事が好きだった。真面目で、でも不器用で、凛と前を見据える彼の側に居られるだけで幸せだった。でもこれで私が友達として、ずっと彼の側に居られるという事はなくなってしまった。 「口付け、した事ある?」 だったら違う形ででも彼の側に居られるようにするだけだ。私だってくのたまだ。色を使う事にだって慣れて、いる……。 彼は首を振った。 「じゃあ色の予習、する?」 彼が何か言おうと口を開いた所で、私はもう一度彼の口を塞いだ。 何も聞きたくない。否定の言葉なんて聞きたくない。 たどたどしくも彼の舌が絡んで来た事にだけ、私は安堵していた。例え彼が予習に余念がなくて、ただそれだけだったとしても。 素直になれない私は、彼への気持ちにそっと蓋をした。 嘘吐き少女の本当 (色なんて、貴方以外に使った事ないよ。) ***** 一周年アンケート反映話。 20110218 戻る |