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01


私はぼんやりと意識を取り戻した。

……あれ。なぁんだ。……私ってば結局死ねなかったんだ……。

目を開けたら真っ白な天井が広がっていて、何時もの病院に居るんだ。ほら、薬の臭いもする。嫌だけど、目なんか開けたくないけど、ずっとこうしているわけにもいかないので仕方なく私は目を開けた。

見えた天井は真っ白なんかじゃなかった。茶色くて、木目が見えた。

病院じゃ、ない……?

驚いている私の視界に入って来たのは若い男の人。でも医者でも看護士でもない。だって彼は白衣を着ていないんだもの。

「気が付きましたか?」

にっこり微笑んだ彼は誰なんだろうか。

「……此処は、何処?」

思ったより声が出なかったが、彼は聞き取ってくれたようだ。

「此処は忍術学園の保健室です。貴方は学園の近くで倒れていたんですよ。覚えていますか?」

学園、の近くで……?
そんなはずはない。私は自室で手首を切ったはずだ。

考えようにも頭が上手く働かない。それに何だか、とても……眠い……。

「僕は保健委員の善法寺伊作といいます。今はまだ寝て体力を回復する事に専念して下さい。」

そう言う彼の声に何だか安心を覚え、本当に私は眠ってしまった。



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