12 「お待ちどうさま。」 お団子屋さんのおばちゃんがお団子が乗った皿を持って来てくれた。 「いただきます。」 真っ白な串団子を手に取った。じっと見てみても私が生きていた世界のものと何ら変わりはない。こういうのは一緒なんだなと、ぼんやり考えながら口に運んだ。 「……美味しい。」 「でしょ?」 ぽつりと呟いた言葉に善法寺くんは嬉しそうに微笑んだ。 「じゃあ僕は留さん達の分とシナ先生のお土産を頼んで来るんで、名前さんはちょっと待ってて下さいね。」 そう言って善法寺くんは席を離れた。その間私はお団子を食べて待つ事にする。出来立てのお団子が美味しくて、日差しが暖かくて気持ち良かった。ぴちぴちと雀の囀りが聞こえ、のどかな時間が流れた。 ……善法寺くん遅いな。別にお団子の注文くらい、席に着いたまま出来たんじゃ……? そんな事をぼんやり考えているうちに、のどかな時間は終わりを告げようとしていた。 「よぉ、姉ちゃん。」 ぽんと肩に手を置かれ、振り返ると知らない男が数人立っていた。見た目で判断するなら、ゴロツキとかそんな類の人間だろう。 「お供も付けずに一人でお出かけかい?」 「こんな別嬪さんが一人で居ちゃ、攫われちゃうぜ?俺達にな。」 下品に笑う男達に虫酸が走る。 ぐいっと手首を引かれ、傷がずきりと痛んだ。 20100529 戻る [前*][次#] |