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06


食堂の手伝いは嫌いだ。
必然的に沢山の生徒達と顔を合わさなくてはならないし、生徒達とはあまり関わりを持とうとしなかったので、私を知らない人が沢山居る。そうなると質問責めにされるのだ。それが嫌だ。放っておいてくれて良いのに。

なので今日はおばちゃんに注文を聞いてもらい、私は奥で盛り付けをさせてもらう事にした。それでも遠くに私の姿を見付けると、生徒達はおばちゃんにあれは誰だと、問い掛ける。直接言われるよりは良いが、代わりに質問責めにされるおばちゃんに少し申し訳なくなった。

この夢の中で、もうすぐ十日が経とうとしていた。……長過ぎる。リアルなこの夢に大分と辟易して来ていた。
そもそも何故こんな夢を見る羽目になったのだろう。さっさと死んでしまえば良いのに。案外しぶとかったんだな、私って。

自嘲した自分の声が漏れた気がした。

どうすればこの世界と決別出来るのだろう。もう一度、今度はこの世界で死ねば良いだろうか?そうすれば私は行く所が無くなってあの世とやらに行けるのだろうか。もう一度、死ねば……。

「名前ちゃん!」

おばちゃんの声で、乖離していた自分に気が付いた時にはもう遅かった。
野菜を切っていたはずの包丁は、私の手首に食い込んでいた。




20100130

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