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任務開始
 火影邸から少し離れた高い屋上からナルト達を探すと、門の外にタズナを引き連れたナルト達がいた。既に里から出ていたようだ。名前は急ぎ目にナルト達を追う。

門の外に出ると、気配を消して気づかれないように木々の生い茂る方を歩く。

どうやら今回はサスケも気づいていないようだ。下忍なりたてのぺーぺーだ、そう簡単に何度もバレてたまるか。

しばらく歩くと、道のど真ん中にキラキラと光る水たまりがあった。
おかしい。ここ最近雨なんて降っていないのになぜ水たまりが.....

不自然な怪しい水たまりに警戒していると、水たまりの中から武装した忍二人が現れた。姿、術から見て霧隠れの忍。

どうやら狙いはナルト達のようだ。

手裏剣を取り出し、敵忍に向けて放つ。
しかしタイミングよく敵忍は宙を舞い、それは空を切る。

敵忍は、宙に舞ったままコートの中からチェーンソーの刃のような鎖を取り出し、背後からカカシを巻き付け襲う。

「なに!?」

「な、なんだァ?」

気づいた時にはカカシは鎖に切り刻まれ、木端微塵になっていた。

「キャーーー!!」

「カ、カカシ先生ェ!!」

サクラとナルトの悲痛な叫びが耳をつんざく。
二人はカカシが目の前で殺されて怯み、動けなくなっていた。

「二匹目」

いつの間にか敵はナルトの背後に移動し、今度はナルトに手をだそうとしていた。

「させるか」

名前は手裏剣を二人に放つ。

「ガッ!」

手裏剣は見事ヒットし、敵忍はナルトから距離を置く。
その時隙が生じ、サスケがすかさず敵に蹴りを入れる。

ナイス追撃だ。

「ななななんだぁ今のどっから飛んで来たんだ!?」

しかしこれだけでやられるような敵忍だはない。
腕の鎖を取り外し、軽やかになった敵忍二人はサスケを避け、ナルトとタズナに向かって行く。

「うわあ!!」

「おじさんさがってェ!!」

タズナを守ろうと、サクラはクナイを構えて前に立ちはだかる。

「だから手出しはさせないっての!」

名前はナルトの方に向かう敵忍に千本を投げる。
千本は敵忍の胸部に命中し、そのままドサリと倒れる。

もう一人の敵忍は、いつの間にか現れたカカシが倒していた。先程カカシが木端微塵にされた方を見てみると、そこには丸太の残骸が散らばっていた。

「身代わりの術を使っていたか。死んだふりなんてしちゃって...ナルト達マジで怖がってたぞ」

ともあれ、ナルト達が無事だから結果オーライか。

先程の手裏剣と千本で自分の存在が気づかれないうちに
名前はその場から少し離れたのであった。



「なーんだ、カカシ先生生きてたのか!じゃあさっきの手裏剣も針も先生だったんだな!」

「え、針?」

ナルトを襲った敵忍を見ると、胸部には細い針が刺さっていた。カカシは千本の武器は使わない。つまり、

「あー...ま、そんな感じかな」

「?」

「とにかくナルト、お前こいつらの爪の攻撃を喰らっただろ。毒が塗ってあるから傷口開いて毒抜きするぞ。あんまり動くと毒が回るからじっとしてろよ」

実は名前の千本を喰らったあと、前のめりに倒れるとき爪がナルトの手の甲に掠っていたのだ。



その話をカカシに渡していた通信機越しに聞いていた名前は苦い顔になった。

「クソッ.....全然守れてなかったのか」

しかも、それに気づくことすら出来ていなかった。悔しすぎる。
名前は自分の未熟さにイライラし始めた。
しかし、ここで自虐的になっても良いことは無いと判断し、通信機の会話に集中することにした。


「こいつら霧隠れの中忍ってとこか。
こいつらはいかなる犠牲を払っても戦い続けることで知られる忍だ」

「.....なぜ我々の動きが見きれた」

木に縛り付けられ拘束された敵忍がボロボロになり言った。

「数日雨も降っていない今日みたいな晴れの日に、水たまりなんてないでしょ」

「あんたそれ知ってて何でガキにやらせた?」

タズナは不思議そうに尋ねる。

「私がその気になればこいつらくらい瞬殺できます。
......が、私には知る必要があったのですよ。この敵のターゲットが誰であるのかを...」

「どういうことだ?」

「つまり、狙われているのはあなたなのか、それとも我々忍びのうちの誰かなのか...ということです。
我々は、アナタが忍びに狙われているなんて話は聞いていない。依頼内容は、ギャングや盗賊などただの武装集団からの護衛だったはず...」

だが忍びとなると話は別だ。
完璧に暗殺を狙ってきている。そこら辺のチンピラとは格別だ。

「これだとBランク以上の任務だ。
依頼は橋を作るまでの支援護衛という名目だったはずです」

タズナは俯いたまま何も言わなかった。

「敵が忍者であるならば、迷わず高額な”Bランク”任務に設定されていたはず...
何か訳ありのようですが依頼でウソをつかれると困ります。これだと我々の任務外ってことになりますね」

お金やコストを浮かせるためワンランク下の任務にするため嘘をつくなんて珍らしいことではない。暗部でも時々そのようなことがある。迷惑極まりないが。

「この任務、まだ私達には早いわ...やめましょ!
ナルトの傷口開いて毒血を抜くにも麻酔がいるし、里に帰って医者に見せないと......」

「んーーーこりゃ荷が重いな!
ナルトの治療ついでに里へ戻るか」

正しい判断だ。初めての里外任務だし危険なBランク以上の任務。ナルトは毒で負傷。この任務は完全却下...

「ナルト何やってんのよアンタ!!」

通信機越しでなくても聞こえるサクラの大声に驚き、名前は木陰からナルトの方を見る。

目を凝らして見てみるとナルトが傷のあった手に自らクナイを刺していた。これには名前も驚き目を見開く。

「オレがこのクナイで...オッサンは守る。任務続行だ!!!」

「ナルト...」

...任務が出来なくてしょげるかと思ったが、やっぱナルトは変わった奴だ。

思わず笑みがこぼれる。先程までの自分の悔しかった気持ちまで無くなっているし、本当...凄い奴。

でもな、

「ナルト...景気よく毒血を抜くのはいいが、それ以上は......出血多量で死ぬぞ」

満面の笑顔でカカシはナルトに告げる。
ナルトは顔を真っ青にしまた騒ぎ始める。

「ぬおぉ!ダメ!それダメ!こんなんで死ねるかってばよ!!イヤー!!助けてセンセー!」

「ナルト!アンタって自虐的性格ね。それってマゾよ!」

女の子ははっきり言うねぇ。まあ、マゾじゃなきゃ自分の手にクナイなんて刺さないもんね。多分。

「ちょっと手見せてみろ」

ナルトの出血を包帯で止めるため手を取る。カカシはその手を見て驚いた。傷口が治りかけているのだ。

やはり九尾の力か.....

「カカシさん」

「ん?」

通信機から名前の小さな声が聞こえた。

「一応解毒剤渡しておきます。しっかりキャッチしてくださいね」

「え、ちょっキャッチって...」

声が途切れた瞬間、物が飛んでくる気配がしたのでそちらに手を向けるとそれは見事に手の中の納まる。
4人の死角から飛んできた為、怪しまれることは無かった。出来れば二度とこんなリスクが高い事はやりたくない。

「ホント、命中力凄すぎでしょ...」

「カカシ先生やけに真顔なんだけど、オレってば大丈夫?」

普段ヘラヘラ笑っているカカシが無言で真顔なのだ。ナルトが心配するのも無理ない。

「...ま!大丈夫だろ!」

カカシは塗り薬の解毒剤を傷口に塗ると包帯を手際よく巻く。

「いででで!先生強く巻きすぎいだだだ!!」

「あ、ゴメーン」

その様子を楽しそうに遠くから見る名前にはちょっとした決心がついたのだった。

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あきゅろす。
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