最悪の依頼人
現在、木の葉の森にて、第七班は任務をこなしていた。
ナルト、サクラ、サスケの3人はカカシの指示に従い、行きを潜めてターゲットを狙っている。
「目標との距離は?」
「5m!いつでもいけるってばよ!」
「俺もいいぜ」
「私も」
「よし!やれ」
カカシのゴーサインと同時に、3人は一斉にターゲットに向かって飛びかかる。
「ニャーーーー!!」
「つっかまえたぁーーっ!!!」
ナルトは猫に抵抗され、顔を爪で引っ掻かれるが耐えてしっかりと捕まえる。
「右耳にリボン…目標のトラに間違いないか?」
「ターゲットに間違えない」
「よし。迷子ペット“トラ"捕獲任務終了!」
つまんない任務してると、見てるこっちもつまらなくなるよ…楽だからいいけど。
「ああ!私のかわいいトラちゃん!!
死ぬほど心配したのよォ〜〜〜」
依頼所で待っていた依頼人のマダム・しじみは、ペットのトラをかなりきつく抱き締める。猫はマダムの抱き締める力が強すぎるようで失神していた。
あんな様子じゃ逃げても無理無いな…
窓の近くの木から中の様子を見て、猫を哀れみの目で見る。
「…さて!カカシ隊第七班の次の任務はと…
んー……老中様のぼっちゃんの子守りに、隣町までのおつかい、イモほりの手伝いか……」
「ダメーーーッ!!そんなのノーサンキュー!!
俺ってば、もっと、こう、スゲェー任務がやりてーの!他のにしてェ!!!」
ナルトは毎日つまらない任務ばかりしているせいで、駄々をこねる。ナルトならそろそろ文句言うと思っていたけど。ここまで早くに文句を言うとは...
それを聞いたイルカは椅子から立ち上がって説教をする。
「バカヤロー!!お前はまだペーペーの新米だろーが!
誰でも初めは簡単な任務から場数を踏んでくり上がってくんだ!」
「だってだって!この前からずっとショボい任務ばっかじゃん!!」
ナルトの我が儘を聞いていた火影は、やれやれと呆れた。
カカシはいい加減にしろと言い、ナルトの頭を軽く殴り、静かになったところで火影が咳払いをして話をする。
「ナルト!お前には任務がどーいうものか説明しておく必要があるな…
いいか!里には毎日多くの依頼が舞い込んでくる。子守りから、暗殺まで。
以来リストには多種多様な依頼が記されておって……難易度の高い順にA・B・C・Dと、ランク分けされておる。里では大まかに分けて、ワシから順に、上・中・下忍と、能力的に分けてあって、依頼はワシ達上層部がその能力にあった忍者に任務として振り分ける。
で…任務を成功させれば、以来主から報酬金が入ってくるというわけじゃ…
とはいっても、お前らはまだ下忍になったばかり。Dランクがせいぜいいいところじゃ。」
長々とした素晴らしい説明ありがとうございました火影様。感動のあまり涙が出ましたよ。決してあくびをした訳ではありません。
「昨日の昼はとんこつだったから今日はミソだな」
「きけエェェイ!!」
ナルトは途中から話に飽き、今日食べるラーメンの事を考えていた。ナルトの無礼をカカシが代わりに謝る。
「あーあ!そうやってじいちゃんはいっつも説教ばっかりだ。
けど、オレってばもう...!
いつまでもじいちゃんが思っているようなイタズラこぞうじゃねぇんだぞ!」
そう言うと、ナルトは拗ねて火影様に背を向ける。
火影はナルトを一目すると、少しの間なにか考え事をし、わかった。と言う。
「お前がそこまで言うなら、Cランクの任務をやってもらう。ある人物の護衛任務だ」
それを聞いて、ナルトは嬉しそうに振り返り勢い良く立ち上がってどんな人物の護衛するのかをワクワクして聞く。
「だれ?だれ?大名様!?それともお姫様!?」
いや、そこは我儘なお坊ちゃんの護衛で散々な目に会うというのがオチかな。ナルトに危害が加わるなら誰であろうとも容赦なく手は打たせてもらうが。
今までとは違う任務を見る事が楽しみな名前は、ナルト達同様、依頼人が来ることを今か今かと待つ。
「そう慌てるな。今から紹介する!
入って来てもらえますかな......」
火影様が扉の方に目をやると、ナルト達全員もそちらに目を向ける。
「なんだァ?超ガキばっかじゃねーかよ!」
扉の向こうから来た人物は、酒瓶を片手に持ち、白髪にねじり鉢巻きという姿の老人だった。
昼間から酒を飲むとは、かなり元気そうでなによりだ。
ヨボヨボの老人だと護衛どころじゃなくなりそうだからね。
まあ、ナルトは少し不満そうだけど。
「...特に、そこの一番ちっこい超アホ面。
お前それほんとに忍者かぁ!?お前ェ!」
「アハハ!一番ちっこいアホ面って...」
ナルトは周りを見回し一番ちっこいアホ面を探す。
この場には、カカシ班と任務受付の人しかいない。
つまり、ちっこいアホ面はナルト達の中の誰かである。
そして、最も背が低い人物は...
ナルトだ。
「ぶっ殺す!!!」
「これから護衛するじいさん殺してどーするアホ」
じいさんに飛び掛かろうとするナルトの襟元を掴んで止める。ジタバタと暴れていたがカカシの手は離れず、直ぐにナルトは落ち着いた。
「わしは橋作りの超名人、タズナというもんじゃわい。わしが国に帰って橋を完成させるまでの間、命を懸けて超護衛してもらう!」
その後、ナルト達とタズナが部屋から出るのを確認すると、名前は颯爽と火影の前に現れた。
「うわ!びっくりしたぁ....」
いきなりあらわれた名前に驚くイルカを放って置き、火影に膝を付き頭を下げて言葉を待つ。
「ナルト達の事を頼んだぞ」
「御意」
そう言うと、名前は姿を消した。
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