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最後のチャンス
「忍者やめろってどーゆーことだよォ!!
そりゃさ!そりゃさ!確かにスズ取れなかったけど!なんで、やめろまで言われなくちゃなんねェんだよ!!」

「どいつもこいつも、忍者になる資格もねェガキだってことだよ。」

カカシの奴…厳しすぎないか。
いくらスズが取れないからって、忍者やめろなんて普通言わないだろ…

「あ!」
「サスケ君!!」

ハッとなってサスケの方を見てみると、サスケはカカシに向かってもう突進をしていた。
カカシの判断が気に食わず、なんとかしてでも合格しようとしてこんなことをしたのであろう。

しかしサスケの動きはカカシにあっさりと封じられ、組敷かれてしまった。

「だからガキだってんだ」

「サスケ君を踏むなんてダメーーー!!!」

カカシはナルトとサクラを睨み付ける。

「お前ら忍者なめてんのか、あ!?
何の為に班ごとのチームに分けて演習やってると思ってる。」

「え!?
…どーゆーこと?」

「つまり……お前らはこの試験の答えをまるで理解していない……」

「答え…!?」

「そうだ。この試験の合否を判断する答えだ。」

ナルトとサクラは訳がわからないようで、首を傾げるだけであった。

「だから……さっきからそれが聞きたいんです!」

カカシは呆れたようにため息をつく。

「あ〜〜〜も〜〜〜〜!
だから、答えって何なんだってばよォ!?」

「それは、チームワークだ」

3人は目を見開いて驚く。
その様子を見てカカシは再び大きくため息をつく。

「3人でくれば…スズを取れたかもな」

すると、サクラは何かに気づいたようでカカシに質問をする。

「なんでスズ2つしかないのにチームワークなわけェ?
3人で必死にスズ取ったとして、一人我慢しなきゃなんないなんてチームワークどころか仲間割れよ!」

「当たり前だ!
これはわざと仲間割れするよう仕組んだ試験だ。」

「「え!?」」

「この仕組まれた試験内容でもなお、自分の利害に関係なくチームワークを優先できる者を選抜するのが目的だった。」

へえーそういうことだったのか。
確かに任務こなしていくとチームワークが重視されるもんな…この試験、改めて学ばされたよ。

「それなのにお前らときたら……
サクラ…お前は目の前のナルトじゃなく、どこに居るのかも分からないサスケのことばかり。
ナルト!お前は一人で独走するだけ。
サスケ!お前は二人を足手まといだと決めつけ、個人プレイ。

任務は班で行う!
確かに忍者にとって、卓越した個人技能は必要だ。が、それ以上に重要視されるのは“チームワーク"
チームワークを乱す個人プレイは仲間を危機に落とし入れ、殺すことになる。
……例えばだ……」

カカシはポーチからクナイを取り出し、サスケの首元に持っていく。

「サクラ!ナルトを殺せ。
さもないとサスケが死ぬぞ」

「え!!?」

「……」

名前はポーチから手裏剣を取り出し、カカシの方をキッと睨み付ける。

「と……こうなる。」

カカシはサスケから離れ、クナイをポーチにしまう。ナルトとサクラはホッと安堵する。
名前はカカシを睨み付けたまま手裏剣をポーチにしまう。

「人質を取られた挙げ句、無理な選択を迫られ殺される。任務は命がけの仕事ばかりだ!」

カカシは先程までいた後ろの方に歩いていくと、そこには石碑がポツンと建っていた。
石碑には無数の文字が刻まれていた。

「これを見ろ。
この石に刻んである無数の名前。これは全て、里で英雄と呼ばれている忍者達だ。」

英雄。という言葉にナルトはピクリと反応する。

「それそれそれそれーっ!それいーっ!!
俺もそこに名を刻むってことを今決めたーっ!!英雄!英雄!犬死になんてするかってばよ!!」

「…が、ただの英雄じゃない……」

「へーーーえーーー
じゃあ、どんな英雄達なんだってばよォ!」

カカシはしばらく沈黙を続ける。

「ねえ!ねえ!」

「任務中、殉職した英雄達だ。」

ナルトはそれを聞いて驚き、暗く沈み込むような気持ちに陥った。
それと同時に、忍がどれほど危険な事をしているのか改めて怖いほどに分かったのであった。
サクラとサスケも、ナルトと同様であった。

「……お前ら…!最後にもう一度だけチャンスをやる。ただし、昼からはもっと過酷なスズ取り合戦だ!
挑戦したい奴だけ弁当を食え。ただし、ナルトには食わせるな。」

「え?」

「ルール破って一人昼飯食おうとしたバツだ。もし、食わせたりしたらそいつをその時点で試験失格にする。
ここではオレがルールだ。分かったな」

カカシはそれだけ言い残すと、一瞬で何処かに去っていってしまった。


「へっ!オレってば別に飯なんか食わなくたってへーきだっ…」

ぎゅるるるるるる

「…ナルト、腹の虫は正直だぞ…」

昼食のおにぎりを食べながら、その様子を眺めていた名前であった。


ぎゅるるるるるる…

二人が弁当を食べ始めると、ナルトのお腹の音は更に鳴るようになった。

「ナルトの奴、相当腹減ってるな…」

ふと、名前は手元にある口を付けていないおにぎりを見つめる。

「こんなところからおにぎりを投げるけるのもアレだし、だからといってナルトの所に行って渡すのもなー」

…おにぎりあげるのは無理か。

しかし、ナルトの腹の鳴る音を聞くと、いてもたってもいられなくなり、どうにでもなれ!とおにぎりをぶん投げようとすると

「ホラよ」

「「!!!」」

サスケがナルトに弁当を渡していた。

「ちょっ…ちょっとサスケ君さっき先生が!!」

「大丈夫だ。今はアイツの気配はない。昼からは3人でスズを取りに行く。
足手まといになられちゃこっちが困るからな」

サクラは複雑な表情をするが、意を決してナルトに弁当を渡す。

ナルトは二人の意外な行動に驚き、固まってしまっていたが、嬉しくなりつい頬を緩ませた。

「へへへ。ありがと…」

丸太に縛られたままのナルトは思うように手が動かないので、渋々サクラが食べさせようとする。

が、次の瞬間、目の前に大きな煙が舞い上がり、カカシが鬼のような形相でナルト達に向かって行く。

「お前らああああ!!」

「うわぁぁあああああ!!」
「きゃぁああああ!!!」

3人は死を覚悟した。
しかし、カカシは満面の笑みに変わっていた。

「ごーかっく!」

突然のことに3人はただただ驚くことしかできなかった。

「合格!?なんで!?」

「お前らが初めてだ。
今までの奴らは素直に俺の言うことを聞くだけのボンクラどもばかりだったからな。
……忍者は裏の裏を読むべし。
忍者の世界でルールや掟を破る奴はクズ呼ばわりされる。
……けどな!仲間を大切にしない奴は、それ以上のクズだ」

へっ…カカシくせにかっこいいこと言うじゃんか。

「これにて演習終わり。全員合格!!
よォーしィ!第七班は明日より任務開始だァ!!!」

「やったああってばよォ!!!
俺、忍者!忍者!!忍者!!!」

ナルトは嬉しさのあまり少し泣いていた。

「じゃ、帰るぞ」

3人はナルトを丸太に縛り付けたまま演習場を後にした。

「って!どーせこんなオチだと思ったってばよォ!
縄ほどけェーーーーー!!」

この日ナルトは縄脱けを覚えたらしい。

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