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サバイバル演習4。カカシの結論
「あぎゃあぁぁああぁああ!!!」

なんだ今の叫び声。
声からして女だと分かるが…まさかサクラか?
何が起こったらあんな叫び声出すんだ…女の子なのに…



事の少し前──

サスケが隠れ場所を変えようとしていたことに気づいたサクラは、サスケについていこうと同じく自分も場所を移動していた。

「(サスケ君…どこにいるのかな!?
…まさかもう先生に……
イヤ!サスケ君に限ってそんなことないわよねっ!)」

ガサッ

「!!」

物音が聞こえたサクラは急いで近くの草影に隠れる。
物音の正体を把握するため、息を殺して草影から物音のする方を見ると、そこには本を読んでいるカカシがいた。

…セーフ!気づかれてない…

「サクラ、後ろ」

「え!?」

思わず後ろから聞こえた声に振り向くと、そこにはカカシが立っていたのであった。

サクラは驚いて後ろに引き下がろうとしたが、意識がもうろうとし、体が動かなかった。

カカシは印を結んでいたので術であることがわかる。
カカシの体はどんどん木の葉になって散らばり、木の葉は空へと螺旋を描いてサクラの目の前から消えた。
その瞬間にサクラの意識が覚醒し、はっとなった。

「え!?え!?今の何!?
どうなってんの!?先生は!?」

サクラは消えたカカシが近くにいないかキョロキョロと探すが、全く気配はなかった。
逃げたのかもしれない…

そう思った矢先、ふと聞き慣れた声が後ろから聞こえた。

「サクラ…」

この声は…

「サスケ君!!」

嬉しそうに振り替える。
しかし、振り替えって見た光景にサクラは驚愕し、絶望したのであった。

「…サ……サク…ラぁ…
た…助けて…くれ……」

そこには身体中の至るところにクナイや手裏剣が刺さり、左腕が切断されている見るに耐えないほど血だらけのサスケが居たのであった。

それを見たサクラは思考が停止した。
しかし、現状を理解したサクラは顔を真っ青にし、ガタガタと震え始め…

「あぎゃあぁぁああぁああ!!!」

と、女子らしくない叫び声をあげ気絶をしてしまった。


その様子を少し遠くから見ていたカカシは、少しやりすぎたか…と、思うのであった。



サクラの叫び声は少し遠くに場所を移動していたサスケにも聞こえていた。

…今の声、サクラか…

「忍戦術の心得その2、幻術…
…サクラの奴、簡単にひっかかっちゃってな……」

幻術か…一種の幻覚催眠法…
あいつならひっかかるのも無理ねーな…
…しかし…

「俺はあいつらとは違うぜ…」

「そういうのは鈴を取ってからにしろ。
サスケ君…」

サスケは背後にいたカカシに驚くことなく振り向く。
きっと気づいていたのだろう。
先程の言葉はカカシに向けての言葉であったのだ。

カカシはそんなサスケを見て、感だが…しかしどこかハッキリとして分かった。
サスケはあの二人とは違う…と。

「里一番のエリート、うちは一族の力…楽しみだなぁ…」

サスケはカカシの茶化した言葉に耳を傾けることなく、戦闘体勢をとった。

両手で素早く手裏剣をカカシに向けて放つ。
カカシはそれを難なくかわす。

「バカ正直に攻撃してもダメだよ」

しかし、サスケはカカシの行動を見て、ほくそ笑む。
手裏剣は草影に隠れていたロープを切り、罠を発動させた。カカシのすぐ目の前には数十本もの鋭利な刃が飛んできていた。

トラップか!?

カカシは地面を強く蹴り、トラップを避ける。

なんとかトラップを避け体勢を整えようとしたカカシだが、いつのまにかサスケが背後に回り、攻撃を仕掛けようと気づいた。

急いで振り向き、サスケの蹴りを受け止めるカカシであったが、サスケは攻撃を休めることなく右手で殴りかかろうとする。
カカシはそれを片手で防ぐ。
しかし、両手がもう使えないということを利用し、サスケはまだ封じられていない片足でカカシに猛威を振るう。
カカシも負けじと腕で攻撃をなんとか防ぐ。

しかし、サスケは獲物を完璧に捕らえたかのような表情になる。
カカシの腰についている鈴は守られる術を持っていない。
サスケは勢いをつけ、空いている片手で鈴取ろうとした。

マズイと思ったカカシは素早く身を引き、サスケから距離をとる。
少しサスケの手が鈴に触れたが、なんとか取られずに済んだ。

…なんて奴だ……
"イチャイチャパラダイス“を読む暇がない。

「全く、こんな子供が二人もいるなんて困ったもんだよ…」



「ぶえっくしょん!!」

名前はポーチからテイッシュを取りだして鼻に宛がう。

ん、花粉症かな…?でも少し寒気もするし、風邪かもしれないなぁ。
つか、さっきのくしゃみナルトにバレてないよな…

名前はナルトの方をチラッとみる。

ナルトは相変わらず宙吊りになったままである。
先程と違って落ち着いてはいる。
いや、早く脱出しろよ。頭に血が上るだろ…


ナルトはロープに宙吊りにされたまま、くるくると回り、何かいい案がないか考えていた。

ふと、丸太の後ろに石碑のようなものがあることに気づく。

「なんだありゃ…石か?
丸太の後ろってあんなになってたのか…」

まじまじと石を見ていると何かがあるのに気づく。ナルトは目をよく凝らして石の上を見てみた。

「お!石の上に弁当が置いてあるゥ!!」

それを見たナルトはある考えが浮かんだ。

「忍者は裏の裏を読むべし!……かぁ…
ニシシシシシ」

「…なんだ?ナルトの奴にやにやしていやがる。気持ち悪いな…まあ、どうせろくなことじゃないんだろうけどな」



所変わって、サスケは鈴を睨みつけていた。

あと少しで取れそうだったんだがな…そう簡単に取れねぇか…

「ま!あの二人とは違うってのは認めてやるよ」

カカシはニコニコしながらサスケを誉める。

「フン」

サスケはそんな言葉はどうでもいいかのように聞き流す。
すると、サスケは素早く印を結び始める。

馬!虎ァ!!

サスケは印を結ぶと大きく息を吸い込む。

火遁!豪火球の術!!

「なっ…なにィ!!」

カカシは目を見開いて驚く。

その術は下忍のできるような…
チャクラがまだ足りないはず…!!

サスケは勢いよく息を吐くと、そこからとんでもなく大きな火の玉が作られ、地面を大きく抉るように燃え盛った。

サスケは火の威力を弱め、術を止める。
焦げ臭い煙を立ち上げている所を見てみると、そこにはカカシがいなかった。

「(いない!後方!?いや、上か!?どこだ!?)」

突如姿気配を消したカカシを、不意打ちを食らう前に見つけようと辺りを見回す。

「下だ」

サスケは驚き、慌ててその場から移動しようと反射的に行動しようとしたがそれは叶わず、片足を地面から出た腕に捕まれ、その場から動けなくなってしまった。

「土遁 心中斬首の術…」

「ぬおぉ…!」

サスケは抵抗もできないまま地面に引きずられていった。

カカシは体に付いた土埃を軽く払い、地面から首だけを出しているサスケの近くにしゃがみこんだ。

「忍戦術心得その3!忍術だ。
…にしても、お前はやっぱ早くも頭角を現してきたか。
でも、ま!出る杭は打たれるって言うしな。ハハハ」

カカシはサスケをその場に放っておいたまま、どこかにたちさっていったのであった。

「くそ!!」

サスケは身動きひとつとれないまま、カカシの去っていく様子をただ悔しそうに見るだけであった。



あー…これって阻止したほうがいいのかな。

名前の考えは当たった。ナルトは本当にロクなこと考えてなかった。

ナルトは罠から抜け出し、石碑の上にある弁当を食べようとしているのだ。

「確かに裏の裏を読めってカカシの奴は言っていたが…そういうことをしろということじゃないと思うんだナルト…あ」


「へへへ…バカ正直に鈴なんか録らなくっても、今隠れて食っちまえばいいのだ!
いただきまーーーす!」
「オイ」

「…って言うのは冗談でェ……」

「遅い!」

あーあ。そういうことするからバチが当たるんだよ。反省して今度からは違うことに頭使おうな。ナルト。



「……アレ?…私……」

気絶していたサクラはまだ意識がハッキリしていないようだ。寝惚けている顔をしている。
何があったのか記憶を引っ張り出そうと考えていると、ハッとなり気絶する前のことを思い出した。

そうだわ!サスケ君が死にかけてて……それ見て私……

「サスケくーーん!私を置いて死なないでー!どこなのォーーー!」

サクラはサスケを探しに、その場を立ち去った。



ちくしょう…ここまでの差が…

サスケは思ってもいなかったカカシの圧倒的な強さに悔しがる。

ふと、カカシの小言のような言葉が脳に浮かび上がる。

「全く、こんな子供が二人もいるなんて困ったもんだよ…」

俺みたいな餓鬼がもう一人だと?
あいつ、かなり俺のこと舐めてやがる…俺と同じくらいの力量の餓鬼がいるだぜ?
はっ笑わせてくれるぜ。

そんな言葉、すぐにでも無いものにしてやる…俺は誰よりも…あいつよりも強くなってやる……

ガサッ…

「!」

目の前の草影から物音が聞こえたサスケは顔をあげてみると、そこにはサクラがこちらをじっと見て固まっていた。

丁度いい、ここから出るのを手伝ってもらうか。

「サクラ助け」
「あぎゃああぁああ!!今度は生首ィーー!!!」

サクラは絶叫すると、パタンとその場に倒れ気絶してしまった。

「…なんなんだ…」


「うおっ!またサクラの絶叫が…
ったくまたカカシの奴か?でもカカシはここにいるし…何があったんだ?」



「オイ…」

え…サスケ君の声

サスケの声が聞こたサクラは目を冷ますと目の前には、クナイや手裏剣が刺さっていない、血だらけでもない、生首でもない、いつも通りのサスケが目の前にいた。

「サスケ君!無事だったのねェ!!」

サクラは喜びのあまりに、サスケに抱きつく。

「あ…おいやめろ…くっつくな!」

サスケは女子に手をあげることはよくないと思い、慌てて自分からサクラをひっぺがす。

「もう昼まで時間がない。俺は行くぞ」

「サスケ君まだ鈴狙う気なの!?」

「さっきは触れた。次なら取れる」

「え!?…あは!そ…そうなんだ…やっぱりすごいねサスケ君て…」

やばい!私あんな先生から鈴取れっこない!
このままだとサスケ君と離ればなれにィ!!

サクラはなんとかしようと考える。

「あ…あのさァ、もう時間もないことだし、今回は無理しなくても……次回頑張るってことで…」

サスケはギロリとサクラを睨み付ける。
サスケに睨み付けられたサクラはびくりと肩を震わせ、何も言えなくなった。

息苦しい空気が漂うが、それを壊したのはサスケであった。いや、むしろ息苦しい空気をさらに息苦しくさせた。

「俺にしかあの男は殺せない」

「…え…なに?先生のこと?」

サスケはサクラの言葉が耳に入っていないのか、ブツブツと話を続けた。

「あの時…泣いていた…」

「泣いていた……?」

「オレの……」

「何…何のこと……!?」

サクラはサスケが何を言いたいのかさっぱり分からなかった。

「オレは復讐者だ。
あの男より強くならなきゃならねェ…
こんなところで……」

復讐者。
その言葉でサクラはあることを思い出した。
先日の自己紹介のときサスケは、ある男を殺すこと…という野望を打ち明けた。

きっとその事をいっているのであろう。
しかし、まだはっきりとサスケが何を言いたいのかはわからなかった。


ジリリリリリリリ!!!

タイマーの音が鳴り響く。
どうやら12時になってしまったようだ。

「くそ……ムダ話が過ぎた」

サスケは舌打ちをして歩き出す。サクラは慌ててサスケの後を追い、二人は気まずい空気のなか、最初の丸太の所へと向かったのであった。




ぎゅるるるる

腹の音が遠くにいる私にまで聞こえるんだが…
よっぽど腹が減っているようだな。
ナルトなんて、さっき弁当盗み食いしようとしたからカカシに丸太に縛り付けられているしな。

「おーおー
腹の虫が鳴っとるね…君達。
ところで、この演習についてだが、
ま!お前らは忍者学校に戻る必要もないな」

「やったあ!」

カカシの発言に3人は喜ぶ。

名前はカカシの言葉が腑に落ちづ、よくよく考えてみる。
あれだけ散々言っていたのにあっさりと合格を言い渡すか?おかしいだろ…

「…あっ…まさか!
珍しくカカシの奴の言っていることがおかしいと思ったら…!」


ナルトは丸太に縛り付けられて唯一自由に動かせる足をバタバタとさせながら問う。

「じゃあさ!じゃあさ!
ってことは3人とも…」

「……そう、3人とも…
忍者をやめろ!」

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