サバイバル演習3
演習場に鈍い音が鳴り響く。
ナルトの攻撃がカカシに決まった音。誰もがそう思ったであろう。
しかし、ナルトの拳を食らっていたのはカカシではなく、分身のナルトであった。
「あれ!!?」
あちゃー…確実に決まったと思ったんだけどなぁ。
やっぱり手は抜かないんだなカカシの奴…
さて、カカシの奴は何処に行ったのやら…ナルトは見つけられるのかな
「あ!」
お、見つけたのか!
「お前ってばカカシ先生だな!変化の術で化けてんだろ!!」
ナルトは先程殴った分身をカカシが変化しただけと思い、再び殴りかかろうとする。
しかし分身は違うと否定し、他の分身がカカシだと言い付け近くにいた分身に殴りかかろうとしていた。
「お前こそ!」「イヤ!お前だ!」「オレじゃないってばよ!」「お前、先生と同じオヤジの臭いすっぞ!」「するかぁ!!」
ナルトの分身達はお前だお前だと騒ぎ無茶苦茶に殴ったり噛みついたりと、酷い争いをしていた。
自分で自分と戦っている…アホかアイツ…
あ、そういえば馬鹿だったな。
そんな中、分身の一人があることに気づく。
「あのさ!あのさ!
とりあえず術といてみろってば。
そしたら二人になる…それでわかる」
その一言で全員ピタリと攻撃を止める。
「あ!もっと早く気づけバカ!」
「お前はオレだバカ!」
言い争いはいいから早く術とけという声があがり、ナルトはしぶしぶ術をとく。
周りに煙が舞い様子が見えずらくなったが、風が吹き状況がわかると、ナルトは落胆した。
いや、ナルトだけではなくサクラやサスケも落胆したであろう。
そこには一人寂しくナルトだけがポツンと立っていたのであった…
「(今のは変わり身の術か。
カカシの奴、ナルトの分身と上手く身を入れ換えたな。やられたと錯覚させるだけでなくナルトの攻撃自体を利用するとは…ホント、敵わないや)」
名前は冷静に状況を分析し、改めてカカシの凄さを知ったのであった。
「あ!スズゥ!!!」
今度はなんなんだと大声で叫ぶナルトの方を見てみると、どうやら地面に落ちていた鈴を見つけたようだ。
ナルトは鈴に一直線に向かう。警戒はしていないようだ。
って、おいおいおい。お前なんでそんな警戒心無しに鈴取ろうとしてんだよオイコラ。明らかに罠じゃないかそれ。
ナルトが鈴に触れようとした次の瞬間、ナルトの両足首に隠れていたロープが巻き付き、そのままロープは木の上へと上がっていき、ナルトは逆さ宙吊り状態になった。
「なんじゃこりゃあ!!!」
ナルトの馬鹿な行動を遠くから見ていたサスケは苛々や焦りが出ていた。
「罠にきまってんだろが…
しかしあの上忍…ナルトとやってる時でさえ、スキ一つ見せねえ…」
あーあ、やっぱり罠じゃないか。
フラグ回収お疲れさんナルト。
あと、頭に血が登りすぎる前にしっかりと脱出しろよ。危ないから。
ナルトはとにかくもがいて罠から抜け出し、鈴を取ろうとしていた。
そんなナルトの目の前に突然カカシが現れ、鈴を回収した。
「あ!」
「術はよく考えて使え。だから逆に利用されるんだよ…
それと…バレバレの罠に引っ掛かるな。バカ」
カカシは最後のバカを強調する。
ナルトはまた馬鹿にされ凄く悔しそうにしていた。
「忍者は裏の裏を読め!」
「ンなの分かってるってばよ!」
腕をブンブン振り回しながらナルトは子供らしい発言をする。
カカシはそれに溜め息をつく。
「あのね、分かってないから言ってんの」
カカシはヘラヘラとしながらナルトを馬鹿にするかのように話を続ける。
ナルトはそれにうんざりするばかりである。
「(ここだ!)」
その様子を遠くから見ていたサスケは、カカシがスキを見せたと感じ、素早く手裏剣とクナイを複数投げつけた。
サスケの投げた手裏剣とクナイは見事にカカシの顔面や首にヒットし、傷口から血を勢いよく拭き出したカカシは倒れる。
「うわぁ!!うわぁ!!モロだぁーーー!!
サスケのヤローやりすぎだろォー!!」
その光景を真正面から見ていたナルトには少し刺激が強いのでは。と、考えていた名前だったが、そんなことはないようであった。
倒れたカカシは煙を巻き上げクナイや手裏剣が刺さった丸太に変わっていた。
「また変わり身の術か…」
つまらない…と呟き、木にもたれ掛かる。
まあ、さっきのでどこかの誰かさんの居場所はカカシに気づかれたようだけどね。
罠にかかった無様な顔を拝みたかったが、まあいいか。
一方のサスケは、カカシがわざとスキを見せて居場所を探る罠にかかったのに気づき、新たな隠れ場所を見つけるため移動をしていた。
そしてその一方のサクラは、サスケが隠れ場所を変えようと移動したことに気づき、サスケを追うため必死になっていた。
「(サスケ君…どこにいるのかな!?
…まさかもう先生に……
イヤ!サスケ君に限ってそんなことないわよねっ!)」
ガサッ
「!!」
物音が聞こえたサクラは急いで近くの草影に隠れる。
物音の正体を把握するため、息を殺して草影から物音のする方を見ると、そこには本を読んでいるカカシがいた。
…セーフ!気づかれてない…
「サクラ、後ろ」
「え!?」
思わず後ろから聞こえた声に振り向くと、そこにはカカシが立っていたのであった。
「ったく、ナルトの奴…早く罠から抜け出せよ…!見ているこっちが苛々してくる!」
ナルトは未だ罠から抜け出せていない。
思わず手を貸したくなる名前であったが、これくらい抜け出せないと先が思いやられると思い、手を出さなかった。
しかし、ここまで遅いと思わず手を貸したくなる。
その思いを表しているかのように、名前の右手にはクナイが握りしめられていた。
「早くしろ早くしろ…あと10秒数えて抜け出せなかったら手を貸してしまうぞ…だから早く脱出しろ。」
名前は10、9…と数を数え始める。
5、と言い始めると、ナルトが何か思い付いたようでホルダーからクナイを出す。
そのクナイを使いロープを切って罠から脱出したナルトを見た名前は、まるで赤子がハイハイ出来たかのようにとても喜んだ。
「なぁにが"裏の裏を読め!“だ!ちくしょう!
先生の罠にゃもう二度とひっかからねェぞ!!」
ナルトは見事に地面に着地をする。
しかしナルトが地面を踏んだ瞬間、先程と同じ罠のロープに引っ掛かり、また宙吊りになるナルトであった。
その様子を見ていた名前は、苛々のあまりに握りしめていたクナイを木の幹に力一杯に刺し、ナルトが罠からスムーズに抜け出せるように、今度から通り道に罠を仕掛けるか…
などと物騒な事を考えていた名前であった。
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