サバイバル演習1
サバイバル演習を行うと言われた翌日。
三人は時間通りに集合場所の演習場に着いていた。
しかし、カカシは集合時間を過ぎても全く来る気配が無かった。
三人はそのせいで苛々していた。
「(カカシの奴遅いなー
三人共凄い怒ってるぞ…)」
名前は来る気配の無いカカシを三人の怒りが爆発する前に連れてこようと思い、立ち上がろうとすると、タイミング良くカカシが現れた。
「やー諸君おはよう!」
カカシは遅刻したくせに呑気におはようと言う。
「「おっそーい!!!」」
ナルトとサクラは怒りと呆れでいっぱいのようだ。
サスケは相変わらずクール装って睨んでいるだけだが、内心は二人と同じ気持ちであろう。
カカシはそんな二人を半ば強制的に落ち着かせ、今回集まった真の目的、サバイバル演習を始めようとしていた。
「よし!12時セットOK!!」
カカシは切り株に時計を置きタイマーをセットした。
三人はサバイバル演習で何をするのかいまいちわからないような表情をしている。
カカシは懐から二つの鈴を出し、三人に見せつける。
「ここに、スズが2つある…
これを俺から昼までに奪い取ることが課題だ。
もし、昼までに俺からスズを奪えなかった奴は昼飯ぬき!
あの丸太に縛り付けた上に目の前で俺が弁当を食うから 」
昼飯食うなって…そういうことだったのね
三人は先日のカカシの発言を理解した。
「スズは一人1つでいい。
2つしかないから…必然的に一人丸太行きになる。
…で!スズを取れない奴は任務失敗ってことで失格だ!
つまり、この中で最低でも一人は学校へ戻ってもらうことになるわけだ…」
任務失敗、失敗、その言葉で三人に緊張が走り、風の音がこの張り詰めた空気をより重くする。
「手裏剣も使っていいぞ。
俺を殺すつもりで来ないととれないからな」
「でも!!危ないわよ先生!!」
サクラは人に刃物を投げつけることに抵抗をした。
そんな様子じゃ忍やっていけないぞ…
名前はサクラの道徳的な考えに先が思いやられた。
「そうそう!
黒板消しもよけれねーほどドンくせーのにィ!!!
本当に殺しちゃうってばよ!!」
カカシはナルトのいかにもサクラに便乗した発言に呆れた口調で話す
「世間じゃさぁ…実力のない奴に限って吠えたがる。
ま…ドベはほっといて、よーいスタートの合図で…」
カカシが話をしている途中なのに、ナルトはホルダーからクナイを取りだしカカシに襲いかかっていった。
きっとナルトはドベと言われたことに腹が立ったのであろう。
しかし、その行動は呆気なくカカシに封じられ、持っていたクナイを自分の真後ろに向けられた。
サスケとサクラは突然の事過ぎて、一瞬の出来事にただ驚いていた。ナルト本人もいつの間にか自分自信にクナイが向けられていることに驚き、言葉すら発せなくなっていた。
「そうあわてんなよ。
まだスタートは言ってないだろ」
カカシからは突然のナルトの攻撃に対し、驚きも緊張も感じることは無かった。
サクラはカカシの実力に驚いていた。
それと同時にカカシからスズを奪える自信が薄くなっていた。
サスケは上忍の実力をこの眼で見れたことに喜びを感じつつ、カカシからスズを奪うことがいかに難しいかを物語った。
「でも、ま…
俺を殺るつもりで来る気にはなったようだな…
やっと俺を認めてくれたかな?」
三人のカカシに対する表情は大きく変わっていた。尊敬、恐怖…それだけではない、様々な気持ちが要り混ざった表情に。
そして、これから始まる演習は今までと全く違うものになるであろう喜びを表していた。
それは遠くにいる名前にも伝わっていた。
「この初々しい緊張感…
フフッ…なんか昔を思い出しますねぇ…
今後の展開が凄く楽しみだ」
名前は目を細めて楽しそうに微笑んでいた。
「ククク…なんだかな
やっとお前らを好きになれそうだ…
…じゃ始めるぞ!!」
三人は緊張感が先程までとは比にならないほどになっていたが静かに体勢を整える。
「…よーい…
スタート!!!」
合図と共に各自は地を強く蹴り、勢いよく散らばった。
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