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サクラの想い、サスケの言葉
名前はサスケと別れた後再びナルト探しを始めていた。
しかし全く見つからない。
そのイライラもあり不機嫌な様子の名前

「あー…
なんかムシャクシャするというかなんというか…」


─お前、昔俺と会ったことないか?



ええありますよありますよ。
ありましたよ。
あったけど言いたくないんですよ。

嘘をついた罪悪感もあるが仕方がないと自分に言い聞かせ、一端落ち着くことにした。

よし、ムシャクシャしていても駄目だ。ナルトを探そう。



「ん?」

は?なんでアイツがあそこに…?


名前が目を見開いて驚いている方向には、ナルトと同じ班の春野サクラがいた。

サクラだけではない。


サスケもいたのである。



ん?ん?
なんでサスケがあそこに…

さっきまで私と一緒にいたのに…
誰かが化けてるのか?

それとも、さっきのが偽物…?

だとしたら色々厄介だな。



名前は物陰に隠れ、二人の様子を見ることにした。

耳を澄まし、二人の会話を聞いていると…


「お前、チャーミングな広いおでこしてんな。
思わずキスしたくなるぜ。」

サスケはなんの恥じらいもなくサクラにキザな台詞を言う。

「ブフォッ!!!」

名前は吹き出すのを堪えきれなかった。

バレないように口を手で押さえてはいるがヒィヒィと笑いを堪えきれずに口から声が漏れる。

恐ろしいほど笑える。

しかし、1度落ち着いて先程の言葉を脳内でリピートすれば恥ずかしさが込み上げる。

自分で言ったわけでもないのに。

サクラをチラッと見てみると照れているようだ。
さっきの言葉で笑わないのか?

会話を聞いた途端いきなりあの言葉は反則だろう。
サスケ、君そんなこと言う人だったんだね。
否定はしないが…意外、かな?

そしてこれは貶しているのか?
いや、誉めているのか?
サスケ流のナンパの一言か??

わからない。何がなんだかさっぱりわからない。


色事にあまり縁のない名前は頭がショートしそうになる。


「なーんてな。
ナルトならそう言うだろーな」


冗談かよ!!!!

驚かせないでくれ!
君があんなナンパチャラスケに本当になっていたらアイツ泣くぞ。

一方のサクラはガクッと気を落としていた。
そりゃ好きな男子に冗談告白受けたらそうなるよね。

サスケはサクラの座っているベンチの隣に座ると、話を変える。

「サクラ、お前に1つ聞きたいことがある。」

「え?」

「ナルト…どう思う?」


へえー…あのサスケがナルトの事を聞くなんて…ドベなんて文句言っていたけど、やっぱり気になるもんなんだな。

サスケの質問に対してサクラは静かにゆっくりと答える。まるで今から大切なことを話すかのように。

「…人の恋路の邪魔物がすっかり板についてきて、私が四苦八苦しているのを楽しんでる……

ナルトは私のことなんて、何一つわかってない……うざいだけよ。

私は、ただサスケ君ただ一人に認めてもらいたいだけ……」


な、な……!?
これはまさか、世で言う告白というやつなのでは!!!?
え、え、これって聞き続けてもいいのか?


盗み聞きなんて何度もやってきたがこういうのは任務でもないから……でも、こういうの見るの初めてだから凄い気になる…
しかもサラッとナルトの事否定されたね。

ナルトがこの事を知ったら悲しむのかな…
好きな人に嫌われるって辛いしな…


結局気になる名前は、物陰からこっそりと顔を出し二人の様子を見続けることにした。


「私…必死だもん。みとめてもらえるためならなんだってできるよ。

好きだから…」

そう言うとサクラはサスケに目を閉じてズイッと近づく。


これはキス待ち…の仕草…!

うわあああどうなるんだよこの恋!
実るの!?散るの!?
うわあああ!!!


名前はそれ以上考えると脳に過激すぎるので赤面してどこかに逃げたのであった…





「告白現場…初めて見たな…」

名前は先程の光景を思い出す。
しかし、色事にあまり関わったことがない名前には刺激的過ぎたので思い出すのをすぐにやめた。

告白って、見てる人にまで感情が伝わってくるものなんだな…

名前はバクバクと動く心臓を落ち着かせそうと深呼吸をし、両頬を両手で軽く叩く。

「こんなことしてる場合じゃなかった。ナルトを探さなくては」


自分の目的を思い出すと名前は再びナルト探しをしようとする。


しかし次の瞬間、再び驚くべき人物に出会う。


「なんでサスケが、さっきいた別の方向から来ているんだ?」

目線の先には先程までサクラと居たサスケがいたのである。

「やっぱり、どちらかかが偽物なのか…
でもなんでサスケなんかに…」


名前の脳内に一人思い当たる人物が浮かび上がる。

「ナルトか…?」

悪戯好きのナルトの事だ。サスケの事を善く思ってはいないしサクラに好意があるように見える。

さっきのサスケの質問はナルトの事だった…

もしかしたら、サクラが自分の事をどう思っているのか気になり、ナルトは直接自分の事を聞くと本音が聞けないと思って、サスケに変化をして聞いたのだろう。
まあ、断言はできないがそれが本当だとしたら戻ってナルトの監視が続行できるかもしれない。

手懸かりもないし、一応戻って確かめるか。


名前は来た道を戻り、サクラ達の元へと急いだ。




あれ?サクラしかいない!?

先程の現場に戻ってきてみたらベンチにはサクラ一人しかいなかったのである。


まさか、逃げたのか…?

でもサクラの様子を見ていると誰かを待っている様子だ。


わけがわからない。


頭に手を当て、考えていると

「あ!
もう!サスケ君たら!

シャイなアンチクショーなんだから!」


とうとうサスケが来たか。

どうやらついさっき見たサスケのようだな。

さて、彼はナルトなのかサスケなのか…見定めさせてもらいましょーかね。


「心の準備はできたァ?

私はもうバッチリなんだけどなぁ!!」


心の準備?

ということは、さっきの告白の返事はまだしてないのか。

ん?もしかしたら今返事を返すのか!?

ちょちょちょちょっと待て!

私はまだ心の準備はできてない!!!


しかし、サスケの発した言葉は告白の返事ではなかった。


「そろそろ集合だ。

ナルトのヤローはどこに」
「まーたまたぁ
話そらしちゃってーー

ナルトなんかほっときゃいいじゃない!
サスケ君にいつもからむばっかりでさ!」

サスケは無視するかのように何食わぬ顔をしてサクラの横を通りすぎようとする。


告白の返事はしないのか…?

しかもサスケの様子を見ていると話をそらしていると言うより、元々そんな話知らないみたいな様子だぞ?

まさかさっきのサスケは本当にナルトだったのか?


名前があれこれ考えている時にもサクラの話はどんどん進んでいく。

「やっぱりまともな育ち方してないからよアイツ!

…ホラ!
アイツ両親いないじゃない!?」

サスケはその言葉に反応し、足を止める。

「いつも一人でワガママしほーだい!
私なんかそんなことしたら親に怒られちゃうけどさ!

いーわねー
ホラ!一人ってさ!ガミガミ親に言われることないしさ。だから、いろんなとこでワガママがでちゃうのよ」

「…孤独」

「え?」

サクラは突然のサスケの言葉に驚く。
サスケは声のトーンを落としたまま話を進める。

「親にしかられて悲しいなんてレベルじゃねーぞ」

その声はとても暗く、悲しく、空虚で、哀れなものであった。

その声は遠くにいる名前の心に囁かれるかのように、しかし対照的にはっきりと聞こえた。


「…ど…どうしたの急に……」

サクラはサスケの雰囲気がいつもと違うことに気づきオロオロとした様子で尋ねる。

「お前

うざいよ」


サスケの言葉はサクラに冷たく突き刺さった。

サスケはそれだけを言うとどこかに歩き去っていった。

サクラはサスケの言葉にショックを受け、立ち尽くしていた。



皆そう言う。

両親がいないから自由で羨ましい。
でも、あれは自由なんてものじゃない。
自由なんて綺麗な白い言葉じゃない。
あれは…真っ暗で恐ろしいものなんだ。


名前は今のサスケを本当のサスケと判断し、本物のナルトを探しにその場を音を立てずに去ったのであった。




一方、先程の事から少し時間がたったサクラはベンチに座り、サスケの言葉を思い出していた。

うざいよ…
かぁ…


…ナルトもこんな気持ちだったのかな……

「次からはもう少し優しくできるかな、私…」

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