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ナルト捜索4
「見つかりませんねー」

イルカと別れてから時間が経つが、ナルトは全く見つからないのである。

「(探知系の忍を連れてくれば良かったな…)」

しばらく木々を掻き分けて森の奥へと行くと、先程聞いたばかりの声が聞こえた。




その頃。
ナルトはイルカとミズキの近くにある木の影に隠れて二人の会話を聞いていた。

「お前みたいなバカ野郎に巻物は渡さない。」

そう言うイルカを、ミズキは蔑み、嘲笑いながら見ている。

「バカはお前だ。
ナルトも俺と同じなんだよ」

「…同じ?」

「あの巻物の術を使えば、なんだって思いのままだ。あの化け狐が力を利用しないわけがない。
あいつはお前が思っているような…」

「ああ!」

ナルトはイルカの言葉に愕然とした。

ケッ…やっぱそうだってばよ!
ホラな…イルカ先生も本心では俺の事……
認めてねェーんだ

「化け狐ならな」

ナルトはイルカの言葉に驚き、会話に耳を澄ませた。

「けど、ナルトは違う。
あいつは…あいつはこの俺が認めた、優秀な生徒だ。努力家で一途で…そのくせ不器用で、誰からも認めてもらえなくて……あいつはもう人の心の苦しみを知っている……今はもう、化け狐じゃない。
あいつは木の葉隠れの里の……

うずまきナルトだ」

ナルトはボロボロと涙を流した。

今まで誰からも認めてもらえなかった。
落ちこぼれで、気味悪がられて、悪餓鬼として、里の厄災者とでしか見てもらえていなかった。
でも、始めて自分を認めてくれた。
木の葉隠れの里の一人として、認めてくれた。
それがなによりも嬉しくて、涙が止まらなかった。

しかし、ミズキはそれに腹が立った。

「ケッ!めでてー野郎だな!
イルカ、お前を後に始末するっつったがやめだ…」

ミズキは持っていた大きな手裏剣を持ってイルカに向かって走っていった。

「さっさと死ね!!」

イルカは出血が酷く、所々傷だらけで思うように動けなかった。

これまでか…

死を覚悟したイルカだった。



しかし、

「ぐあっ!!」

「!!」

イルカの目の前にはナルトがいた。

ミズキを蹴り飛ばし、イルカを守ったのだ。

「イルカ先生に手ェ出すな…殺すぞ…」

「ば…馬鹿!
何で出てきた!!逃げろ!!」

「イルカさんの仰る通り、君は逃げた方がいいですよ。ミズキさんは私がお縄につかせるので。」

突如イルカの隣に着地した名前に3人は驚く。

名前!」

「遅れてすみませんね、イルカさん。」

名前はイルカに笑みを見せる。

「てめぇ…名前!」

「久しぶりですねミズキさん。いい教師だと思っていたのに残念です。まあ、お喋りは後でゆっくりしましょうか。ちゃっちゃとお縄についてもらわなきゃいけないので。」

「ひっこんでろ餓鬼!
こいつは俺が倒す!!」

「餓鬼って…私君と同じぐらいの歳ですよね。なら君も餓鬼じゃないですか。」

ナルトは名前の反論に苛立ち、人差し指を名前に向けて叫ぶ。

「うるせー!とにかく俺が倒すんだってばよ!つか、お前誰だってばよ!初対面の癖に生意気だ!!」

君もだけどね。


うずまきナルト…生意気でうるさいというか…まあ、うじうじしているよりはマシだな。あと、だってばよって…変な口癖だなぁ。
あ、そういえばナルトに堂々と姿見せちゃったな。別に監視役ってバレなければいいんだけどね。

後々厄介なことになりそうだと自分の勘は言っているが今は気にしない。

「自己紹介はまた後でにしましょう。今はミズキさんを倒さなきゃいけませんので。お喋りしながらでも倒せるけど、それじゃ彼が惨めなので」

名前は余裕たっぷりという態度をとる。

「てめぇら…餓鬼の癖に生意気なんだよ!ぶっ殺すぞ!!!」

「子供に向かって殺すなんて言わないでくださいよ。物騒で怖いです」

「怖がってんなら俺一人で倒すってばよ」

ナルトは名前より一歩手前に出て戦闘体勢をとる。

「ほざくな!てめェみてーなガキ1発で殴り殺してやるよ!!」

「やってみろカス!千倍にして返してやっから」

ナルトは術の印を結ぶ。

「てめェーこそ、やれるもんならやってみろ化け狐ェェ!!!」

ミズキがナルトを殺そうと走り出そうとする。
しかし次の瞬間には驚くべき光景が広がっていた。

自分達の周りには数えきれないくらいのナルトの分身がいた。百…いや、それ以上の分身が。
この光景にミズキだけでなく、イルカと名前も目を見開いて驚いた。

「これは多重影分身の術…」

なぜ?
彼は分身の術が苦手なはず…現に今回の分身の術の試験も落ちている。しかも、影分身の術は分身の術よりも難しく、高等忍術として扱われている。

まさか、封印の書の術を会得したというのか。
…ならたいした奴だ。

ミズキはナルトがここまでやるとは思っておらず動揺している。絶好のチャンスだ。

「どうしたよ。こいってばよ!俺を1発で殴り殺すんだろ、ホラ!」

ミズキは分身の数の多さに腰を抜かし、口をパクパクと震わせて動けなくなっていた。

「それじゃあ…こっちからいくぜ!」

「うぎゃああぁぁぁあぁぁぁあ」

ミズキはナルトの術に唖然とし、なにもできないまま殴り倒されていったのだった。



ミズキは気絶したので楽に捕らえることができた。

「へへっちっとやりすぎちゃった。」

「ナルト、ちょっとこっちに来い。
お前に渡したいもんがある!」

イルカはナルトを手招きする。
ナルトは言われるがままにイルカの元へ行く。
目をつぶってろと言われたのか、ナルトはギュッと目をつぶっている。

名前はその様子を少し離れたところから見ていた。

なにをするのか…と思っていると

「…!」

「よし!もう目を開けていいぞ…」

ナルトの目の前には、額当てをしていないイルカがいた。
額当てがどこに行ったかというと…

「卒業…おめでとう。」

イルカの額当てはナルトにつけられていた。

合格者は木の葉の額当てを貰える。
つまりナルトは卒業試験に合格したということだ。

「今日は卒業祝いだ。
ラーメンをおごってやる!」

ナルトは嬉しさのあまり、イルカに抱きついていた。
その様子は、まるで家族のようだった。

名前はそれを尻目にその場を去っていった。



火影邸にたどり着いた名前は気絶しているミズキを聴取等を担当する忍に渡して火影様に報告をしに行った。

「火影様。
ナルトの件ですが…」

「ああ…ナルトは卒業試験に合格。つまり…」

「私の任務は続行ですね。」

「うむ。」

「了解しました。」

「あと、名前よ。お主さっそくナルトの前に堂々と現れおったが…」

「ご心配なく。ナルトは私のこと全く怪しんでいませんでした。私がどのような存在なのか気づかれてはいないのであまり問題はないでしょう」

火影様はあまり納得いかないかのように唸るが、ため息をついて了承する。

「もうよい。下がれ」

「はい。ではまた後日」

名前は一礼をすると、部屋から出ていった。

「やれやれ…とんでもないことをする奴じゃ」

火影は再び大きなため息をつき、政務を続けた。





その頃、

「(あれ?さっきの生意気な奴がいないってばよ。どこいった?)」

なんか忍者みたいな奴だったし、俺の名前知ってたし…アイツ何者だったんだ?

ナルトに疑問がひとつ増えたのであった。

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