ナルト捜索3
しばらくする捜索を続けていると、奥の方からなにやら話し声が聞こえてくる。
「(ナルトか?)」
名前は耳を澄まし、声のする方へと音をたてず、気配を消して走っていった。
声のした方にたどり着くとそこには一人の男性が何本ものクナイで刺されたままぐったりとしているのが見えた。
名前の知っている人物である。
「イルカさん!」
イルカとはナルトが通っているアカデミーの教師である。彼もナルトの担任としてこの捜索に参加させられたのだろう。
名前はイルカの近くに行き、傷の治療をしようとした。
「大丈夫ですか!?今手当を…」
「名前か…!いいところに来てくれた…頼む、俺の事はいいからナルトを…」
「ナルトがイルカさんを攻撃したのですか」
その問いにイルカは苦痛に顔を歪めながら横に首を振る。
「違う…!ミズキが…ナルトを騙して封印の書を…ぐっ…」
イルカの言うミズキという人はイルカと同じ、アカデミーの教師である。
イルカの話によると、ミズキがナルトを騙して封印の書を盗ませ、自分のものにしようとした。
しかし、ナルトと合流したイルカをミズキが邪魔だと思い攻撃し、ナルトは封印の書を持ってミズキから逃げた。ミズキはそれを追った。
爽やかないい人だと思っていたが、そんなのうわべだけのものであったか…
「ミズキさんが犯人ですか。では、封印の書はもう…」
「いや、ナルトがまだ持っているはずだ…急がなくては…」
「私が見つけます。イルカさんは出血が酷いのでここで待機を」
「これくらい平気だ!俺よりナルトが!」
名前はイルカの肩に手を置き、とりあえず落ち着いてください、と言う。
「彼になにかあったのですか。この事件だけではない、ただ事ではないそんな様子をしていますが」
「ナルトが…自分に九尾が封印されていることを知ったんだ…」
「それはナルトに知られてはいけないって秘密だったのでは…!?」
「ミズキが言ったんだ…ナルトは今精神的なショックを受けている。だから急がなくてはいけない。一刻を争う…だから、俺も捜しにいく。」
名前は何を言っても無駄と判断し、わかりました。しかし、無茶はしないでください。
と言葉を残し、二人を見つけに先に森の奥へと進んでいった。
現在、火影邸では火影様が水晶でナルトを見つけることに成功していた。
「(ミズキの奴しゃべりおって…
ナルトは今までになく不安定じゃな…
術で押さえられていた力が解放するかもしれん…
その上、封印の書も手の内にあるとなると…自力で九尾狐になる可能性も万にひとつだが考えられる。
そのときは…)」
「そのときは、それなりの対処を取るしかないな…」
名前は二人のうちどちらかを捜していた。
早く見つけ出したい。
しかし、いつ敵が襲ってくるかも解らないので、気配を消し、警戒をしつつ、できる限りの速度で木から木へと飛び移っていた。
ナルトは自分が人柱力だということを知ってどう思っているのだろうか。
自分を人柱力にした里を憎んでいるのだろうか。
嘆いているのだろうか。
怒り狂っているのだろうか。
どんなに答をみつけようとしても、自分にはわからない。自分は人柱力ではないのだから。
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