05:バレンタインデー の その後
『……ただいま、』
チビ達にあげると決めたチョコレート。鞄には最初入っていた数より2倍3倍増えていた。理由はチョコレートが分裂した、訳でもなく、ただ単にお願いされただけだ。
1人は「いらない」と。1人は「食べきれない」と。
嫌いな物が鞄に沢山入っていると言うだけで憂鬱になる。
『…奈々さん、チビ達は…?』
「たぶん、ツナの部屋に居ると思うわ。」
『…有難う御座います。』
ツナの部屋、か。そう言えば、京子を追いかけて行ったツナはどうなったのだろうか。
『…ツナ、チビ達って、…い…………。』
「あっ、名前!!」
ツナの部屋の扉を開けると、京子とハルが居た。それにビアンキさんも。しかし、言葉が途中で途切れた理由はそれでは無い。
半ば硬直状態の私が気になったのか、ハルが問いかけてきた。
「? 名前ちゃん、どうかしましたか?」
『……それ、チョコレート、?』
そう、部屋の中央には今まさに見たくなかったチョコレートが存在していた。ツナの部屋はチョコレート独特の甘い匂いがした。
「名前も食べる?」
『…御免なさい、ビアンキさん。……チョコレートは、嫌いなんです。』
「そうなんだ!」
「ガハハハハッ!好き嫌いはいけないんだもんね!」
『…はい、チビ達。…あげる、中身全部。』
ランボの事は人の事言えないと、心の中で思いつつ、鞄をチビ達に差し出した。
「何だコレ!」
「хххх!!」
鞄の端から覗いていた袋を掴んだランボ。ランボを止めようとしたイーピンを、別に良いよ。という意味で、頭を撫でた。その間にランボは鞄を開け、チョコレートを見つけ出した。
「スゲー!チョコいっぱいなんだもんね!!」
「хххххххх!!」
「はひ!」
「わぁ凄い!ちゃんコレどうしたの?」
『……全部、貰い物。』
「貰い物?」
『…私が貰ったのと、獄寺と、山本が貰ったもの。』
チビ達は大喜びのようで。キャッキャッとはしゃぎながら漁っている。
「あれ?山本と獄寺君は解るけど、チョコ貰ったの!?」
「凄いです!でも何故でしょうか?」
『……それ、私も気になって聞いたら、』
「「「「聞いたら?」」」」
『…ただ単に、憧れるから、って。』
←*
無料HPエムペ!