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ミコノイルセカイ
絶望1


すべての国で同じ現象が起こっていた。

いつも隣で過ごしていた友人が、家族が、恋人の様子がおかしいと思い伺っていると、突然本気の強さで噛みつかれる。

「グあアぁあッ、痛い、ひぃっ…!」

肉が噛みちぎられる。
首を噛みちぎられ死んだ者もいた。

反撃に勢いあまって相手を殺してしまうこともあった。



そういう近所の人もいて、怖い世の中だと思っていると今度は自分が被害に遭う。

腕に噛みつかれた例の事件のリーダーは、ふと随分前に小耳に挟んだ世界の情報を思い出す。


ーー各地域で突然の内部抗争勃発


今まさに自分が体験していることが原因なのではないか。

突然の知人の変異。
狂暴化し、歯や爪など人間が肉体的に持つ武器で攻撃を仕掛けてくる。


そういえば、あの事件のことで頭がいっぱいだった時にもこのような状態の人間がいるとの情報が出回っていた気がする。




そしてその情報は、あの事件の犯人を拘束した時から頻繁に耳に入るようになったのだ。





リーダーは、自分を噛んできた友人から逃げて自宅に戻った。

噛まれた腕に薬を塗って包帯を巻く。
手当てもしたし、痛みはあるが耐えられない程じゃないとリーダーは寝台へ横になった。


ふと思い出すのは、あの事件の犯人のこと。
なにか嫌な予感がして心臓が大きく脈打つ。


世界のために人を殺しているだの、人の身内が害などと妄想も末期な犯人。たくさん暴力を奮われる中、泣きながら信じてと訴え、壊れ果てたあとは世界が終わると繰り返していた。


そんなまさかと思いながらも考えを止められない。


頭のおかしなことを言う犯人。
あの時は本当に下手な妄想や思い込みで殺されたなんて冗談ではないと激怒したが、周囲の人間の頭がおかしくなって人を襲うようになってから考えてみれば、理性がある分、あの時の犯人のほうがマシに思える。

そんな事を考えながらいつの間にか眠りについた。




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