ミコノイルセカイ
事件1
ここ最近、同じ手口による殺人が多発している。
犯人は不明。
その手口とはナイフで心臓を一刺というとてもシンプルなものだった。そしてもう一つの特徴は、遺体のそばには必ず花が添えてあるということ。
被害者の家族や友人は、意味のわからないその行動に怒りを爆発させていた。
なぜ自分が殺した人間に花を添えるのか。
「馬鹿にしてるとしか考えられない!」
そうある被害者の身内が語った。
「なぜ娘が殺されなきゃならなかったんだ! 来月には婚姻を控えていた幸せな時に…なぜッ!?」
「わたしも主人を殺された…。あんなに真面目な人だったのに…どうして!!」
殺される人間に同一の特徴は無く、地域もばらばらのため恨みの可能性は少ないという。
殺される人数は日によって様々で、少ない時は一週間に1人。多い時には1日で2人殺されている。
犯人は同一人物だと言われている。
その理由が、現場近くに落ちている髪の毛や爪など体から出るものがすべて同じDNA構成だと判明しているからだ。
だが、過去に犯罪履歴が無い人物らしく特定には至っていない。
人々は恐怖した。
最初の犯行から早2年経過した今も犯人は捕まっておらず、事件件数は増え続けている。
長期殺人として、国も警戒している。
そのため半年前に20歳以上の成人はDNA検査しなければならないというのが国民の義務となった訳だが、犯人のDNAと一致する人物は存在しなかった。
巷では犯人は上手く国のDNA検査を掻い潜っているとか未成年の犯行だなどと騒がれている。
そして最近ではある事も発表された為、こう推測する者もいた。
謎の生命体からの侵略なのではないか、と。
その発表されたある事とは、被害者全員に争った形跡がないということ。
とにもかくにも、この無差別事件は未だに解決していないのが現状だった。
つまり、各地で起こっているこの事件を知っていて、犯人が目の前にいても抵抗せずに殺されているということだった。
それが不思議でしょうがない人々は、同じ人間の仕業ではなく他生物の仕業だと考えたようだった。
ただ、現実的な考えをする人も勿論いる。
元より被害者の知人の可能性やその場で仲良くなって警戒を解いたのだとか色々仮説を立てている。
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