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『僕と私の世界の形』
僕と私の世界の形 4話−5
私はココに居た。
『エベレス』の街中にある小さなクレープ屋さん、『メルヘン』に居た。クリーム色の壁に黄色のアーケードが可愛い。
クリスに似合うお店だ。
「あっ、私ね。これがいい『ベリー&ベリークリーム』凄く美味しそう。」とクリスはイチゴやブルーベリーにクリームたっぷりのクレープを見ながら、子供の様にハシャイでいた。
「俺は、『スペシャル・メルヘン』だ。」と光源はチョコレートソース・ナッツ・バナナ・チョコレートケーキ・ベリーソースにクリームたっぷりの特大クレープを頼んだ。
「ユキは何にする?」とクリスが先ほどと比べものにはならないくらい可愛いく。甘えた様に言った。
「紅茶でよい。」と私は席につき言った。
「え〜!ユキ食べないの?美味しいのにぃ。」とクリスは私の席の横に座り残念そうに言った。
「美味いんだぞ。」と光源は言いながら、クリスと自分のクレープを両手に持ち、私の目の前の椅子を足でずらし座った。
「ほら、クリス。」と言いながら、クレープをクリスに渡した。
「はい、ユキ。紅茶はストレートでいいんですよね。」とレイが私の隣に座り、紅茶のポットとカップを私の目の前に置いてくれた。
「すまぬな。」と私はお礼を言い、カップに紅茶をそそいだ。
「ミルクたっぷりいれないの?」とクリスは私を見て呟いた。
「ユキは紅茶も珈琲もストレートだろ。」と光源がクリスの言った事を笑いながら返した。
「でも、今朝の珈琲はミルクたっぷりだったわ。」とクリス言い、少しふくれた。
「嘘だろぉ〜」と光源は信じていない感じだった。
あの慌ただしい朝にクリスは、そんなこと見ていたのか…と私は思いながら、紅茶を口にした。ダージリンの良い薫りがした。

「ユキはミルクたっぷりの珈琲が好きで、ベリー系のお菓子が大好きなんですよ。」と静かに紅茶を飲んでいたレイが、さらりと言った。
私は思わず咳き込んでしまった。
光源は嘘だろと言う目でこちらを見た。
「似合わないのだろ、笑っても怒りはせぬぞ。」と私は目をそらしながら言った。
確かに私のイメージには合わない事は解っていた。しかし…
「ユキ、可愛いな。」と光源はなぜか嬉しそうな顔をして言った。
「よしっ!ユキ、クレープおごってやるから、好きなのたのめ。」と光源は言いだした。
「いよっ!これ以上目立つのはごめんだ。そなた達といるだけで目立つのに。」と私は光源を止めた。「違いますよ。確かに私達は目立ちますが…ユキは一人でも目立ちますよ。」と外にいつの間にか集まった人だかりを見ながら、ゆっくり紅茶を飲みレイは言った。
「おっ、いつの間に集まったんだ。」と光源は驚いた。
「ユキ、綺麗だもんね。腰まで伸びた真っ直ぐな白銀の髪に、金色の瞳。」と言いながらクリスは私をじっと見た。
「同感です。」とレイは紅茶をまた一口飲んだ。

クリスに凝視されながらも、私はクリスを見た。私から見ると綺麗と言うならレイだと思う。可愛いと言うならクリスだ、いつもフリルやレースの付いた服をきて人形のようだった。目を奪うなら絶対クリスだ!と思いながらクリスを見ていると…
「クリス、口の横にクリームが付いておるぞ。」私は手をのばし指で取ろうとしたが、「ダメ、手が汚れるよ。」とクリスは言い、クリームが付いているところを私に向けた。
「人が見ておるぞ。」と私は言ったが、クリスは「ユキ〜」と急かすのだった。
私はクリスに負けた。軽く椅子をずらしクリスに近づいた、そしてクリスの顔にかかる髪を手で軽くよけ、口横に付いたクリームを舐めた。
クリームは甘かった。そして、クリスからも甘い香りがした。周りが一瞬、静まりかえっり。目線を感じた。
「クリス、ズルイぞ。」と光源の声で、周りは音を取り戻した。
私はクリスのワガママを無視する事は出来ないが…さすがに恥ずかしい、壁の方を向き椅子にもたれかかりうつ向いた。
チラッとクリスが私を見てから、光源の方を向き「良いでしょ。でも、私の特権だからね。」と笑みを浮かべ言った。
「なっ、何だよ特権って。」フテクサレた様に光源は言った。
「クスッ。クリスも光源も大人気無いですよ。ユキの取り合いなんて。」とレイは紅茶を飲みきった。
「そろそろ帰りますか?日が暮れたら大変でしょ。」とレイは言い、私の手をとり、クリスと光源を見て「お先に失礼します。」と言うと私を連れて店をでた。
手をひきながら。
「想い人は誰ですか?」
レイは呟く様に言った。
「誰だろう…」と私は空を見上げ呟いた。

雲がゆっくり流れていた。



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あきゅろす。
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