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『僕と私の世界の形』
僕と私の世界の形 4話−1
私はココに居る。
温暖紀1038年、水の星『ウォーター・ワールド』と今は呼ばれている星。
1038年前、この星は温暖化現象により、南北の氷が全て溶け、世界中の地を95%沈めた。
この星の衛星、『月星』に逃げた者。この星が温暖化する前の環境に似た、『NEWコスモ』に逃げた者…逃げた多くは、権力者、学者、お金持ちなどであった。残された者の80%は死亡したとの事だ。
そして、今。
残されながらも生き続けた者達の子孫…つまり、今現在、この星に住む人々も移住を始めている。
この3ツの星をまとめる宇宙連合団体が『ウォーター・ワールド』から労働者を求め『月星』『NEWコスモ』への移住を活発にしたからである。

そして、私はココに居る。
起床時間6時30分、航海時代の船を思わせる帆船に一人乗っている。
名前は千(ユキ)
歳はたぶん26才くらい…
両親不明、養父は水の星代表の連合委員長をしている。
今は別々に暮らしている。
養父はこの星に5%だけ残った地上で、私は海の上で…

私の朝の日課は、調理場で珈琲を飲む事。
もちろん、ブラックだ。
お湯を沸かしている間に、私は珈琲豆を挽く。挽きたての豆で煎れる珈琲は良い薫りがする。
お湯が沸き、私はヤカンのお湯を細く円を書くように珈琲豆におとしていく。
湯気が上がり嗅覚から脳に広がる。「良い薫り…」ヤカンをコンロの上に置き、マグカップを持ち調理場にあるテーブルに移る。
椅子を腰を下ろし、カップに口を付けようとして辞めた。
いつもなら、このままブラックで飲むが今日は、そんな気持ではなかった。
立ち上がり戸棚から砂糖を、冷蔵庫からミルクを出した。
お砂糖を半スプーン、ミルクをたっぷりとカップ入れた。
再び椅子に腰を下ろし、カップに口を付けて飲んだ「美味じゃ。」
調理場にある窓から外を見た、良い天気だ…遠目にチラッと何かが光った。
私は嫌な予感がした…来る!ヘリが近づいて来ているのだ。
静かな朝に迷惑だ。それでも気にしな様に珈琲を楽しんだ。
ヘリが真上に来たのを感じたが無視することを決めていた。
少しすると、乱暴に調理場の戸が開けられた「ユキ、無視するなんてヒドイわ。」と長い栗色の髪を乱し、エメラルドグリーンの瞳で私を睨みながら、クリスが調理場で珈琲を飲む私の隣まで来て「今日は、総合連合会議があるからエベレスに来てって言ったわよね。」と怒鳴った。
エベレスとは、この星に唯一残った5%のしまだ。
「叔父上(養父)は来なくて良いと、私に申した。」と連合会議には無関係という顔をして私は珈琲を飲んだ。
本当の事だ、私は連合委員ではない。
「それでも、ユキには決定権があるわ。」とクリスは今にも泣きそうな顔をして言った。
そう、私には決定権がある。私の一言で議題の有無が決まる事もある。
『水の星』に決定権がほとんどない中、私には3ツの星を左右するくらいの決定権があるのだ。
「今日の議題は重要なものよ。ユキ、解ってるの?」とクリスは私に強く言う…私だって解っている。
『水の星』の住人を仕事、人種、位など…関係無く『月星』『NEWコスモ』に自由に移住出来るというものだ。
きっと、若い者はこの『水の星』を出て行くだろう…この星の未来を左右する大事な議題である。
「理解している。されど、民の意思で移住出来かどうかと言った内容だ。問題ない。」私が総合連合会議に出ても、出なくても結果は見えている。
「問題は大有りよ。」とクリスは一歩もひかない。
クリスはこの法案を却下してほしいのだ。
この法案が決まるれば『月星』『NEWコスモ』が上手いことを言って『水の星』から若者を連れだし自分達の良い様にこき使うだろう。
「はぁ、解った出掛けよう。されど、どんな結果が出ても恨むでないぞ。」ため息を一つつき私は言った。
「ありがとう。」とクリスは言い喜んでた。
しかし、私の気持は少し複雑だった…。

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