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『僕と私の世界の形』
僕と私の世界の形 3話
昨日は花屋、今日は喫茶店、明日は…
何だか不思議で懐かしい街。
僕は夢町(ココ)に居る。

「なっ、何でメイドの服なんだ?」
僕は、幻の頼みで喫茶店を手伝う事になった。
幻から渡された制服を着るために、あの白い部屋に戻って来たが…制服を広げてビックリ!
メイド服だった。
幻の趣味なのか?間違って渡されたのか?解らない。
「ビックリしましたか?」部屋のドアの隙間から少し顔を覗かせ幻が聞いた。
「わっ!」僕は驚き思わず声が出た。
一階で店の開店準備をしているはずの幻がそこに居たからだ。
「あっ、ゴメンなさい。」幻はオドオドしながら言った。
「急に現れたらビックリしますよね。」と申し訳なさそうにうつ向いていた。
「あの…幻、この制服は…」と僕は聞いて良いのか悪いのか恐る恐る聞いてみた。
ビックリしましたか?と僕が驚くのを知っていたかのように言って現れた幻に僕は少し疑いの目を持ってしまった。
「可愛いでしょ。」と嬉しそうに幻は言った。
確かに可愛い、可愛いが僕は男だ!確かに僕は小柄だし色白、しかも髪は肩まで延ばしている。
幻は僕を女だと思っているのだろうか?
「幻、僕は男なのだが…」僕は男として自信を無くしそうだ。
「知っていますよ。これは、ちょっと練習用です。」と幻は言って白い部屋を見回した。「何かこの部屋に必要な物は有りませんか?」と幻は言って僕を見た。
「えっ、あっ‥カーテンとか欲しいかも…」急に聞かれ、僕は無意識にそう答えてしまった。
「あっ、今朝は眩しかったですか。すみません、付け忘れていました。」と幻は普通に答えた。
僕はメイド服について聞きたいのだが…練習用って何の?
話しを変えられしまった気がしていた。
そんな僕を気にせず幻は話しを続けた。
「では、よく見ててくださいね。」ちょっと先生口調に幻は言って窓の方を見た。
僕はもう諦め半分に窓を見た。すると、何もなかった窓にオーロラが降りてくるようにカーテンが現れた。
「えっ、どうやったの?手品とか?」僕は驚きと何とも言えない感動を感じた。
「手品では有りませんよ。この世界では普通です。」と幻はまた先生口調で言った。
「これが普通なの。どうやったんだい?」僕は驚きが覚めることなくドキドキしていた。
「簡単です。想像を形にするだけです。」と幻は言い、手のひらの上に光を作り出した。
「想像を形にする?」僕にはまだ理解できなかった。
「と、言う事ですので、このメイド服を喫茶店らしい服に変えてください。」と幻は先生口調で言った後、「着替えたら下に来て下さいね。待ってますので。」と僕の言葉も聞かないまま幻は下に降りて行った。
「そんな事、急に言われても…」幻が去ってから僕はどうしていいか解らず途方に暮れていた。
窓から街並みを眺めていると青空に白い雲がゆっくり流れていた。なんとなく僕は思った、雲って綿みたいにフワフワしてるのかな?部屋を雲でいっぱいにしたら楽しそう。
ぼんやり空を見続けていると背中にフワッと何かが触れた。
僕はハッとした。嫌な予感が頭を通った。まさか…後ろを振り返ると予感的中!部屋は雲のような綿でいっぱいにになっていった。
慌てて僕は目を閉じ戻れ戻れと願った。恐る恐る目を開けると部屋は、何も無い白い部屋に戻っていた。ただ、さっき幻が出してくれたカーテンが風になびいていた。
僕は、幻の言う事が少し解った気がした。
そして僕はメイド服を白いシャツと黒いズボンに変え、黒いエプロンを出し着替えた。


「幻、お待たせ。」僕は着替えに時間がかかり過ぎたかなと思い、急いで幻の待つ一階の店に来た。すると、幻の返事は意外だった。
「全然、待って無いですよ。早かったですね。」と幻は少し驚いていた。
僕はちょっと嬉しかった。幻の驚きからすると本当らしい。
「えっ、そうなの?」と、嬉しさを隠して僕は言った。
「新人さんは、皆さんもっと時間がかかりますよ。早くて一日とか…天才ですね。」と幻に言われ、僕は少し照れてしまった。
そして、時計は11時を差したと同時に幻は言った。
「さぁ、開店です!」


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