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◆気まぐれや冗談でやってる訳じゃない(森田×川田)
※別離後
※森銀森要素あり






「女の匂い…」
ボソッと呟いた森田にべつだん他意があった訳では無かった。
「一晩、かくまってんか…」
などと言いながら森田のアパートに転がり込んできた川田…。
なにから逃げているのだか…。
「目ざといやんけ、森田」
「お前…女から逃げてんのか?」
川田はクク…と、自嘲するかのような笑い声をたてた。
「ふっ…女は怖いでぇ…」
川田は遠い目をして懺悔するようにつぶやいた。
「ま、どうせ美人局にでも騙されたんだろ…」
森田は肩をすくめて首を振りそれ以上の追求をやめた。
「森田はおらへんのかい?」
「えっ、なに?」
「だから、オンナ」
川田はタバコをくわえてソファーにふんぞり返りながら小指をチョイと立てた。
「…いるわけないだろ」
ムッ…と押し黙って川田を睨む。
川田は鷹揚な態度で足を組んだ。
「ああ…せやな、平井銀ニのチンコが忘れられへんもんな森田は」
「…っ」
森田は一瞬にして顔を赤くした。
か、わ、だぁ〜!
こいつ、なんか俺に恨みでもあるのか?
美人局にひっかかったって言われたのがそんなにカンに触ったのか?
「〜〜〜〜〜〜!」
森田は言葉をなくして平静な"フリ"をしていた。
片眉をあげた川田は少し前のめりに森田に近づいてフゥッとタバコの煙を吹きかけた。
「おどれ…平井銀ニと別れてからセックスもフーゾクもやってへんのちゃう?寂しいやっちゃなぁ」
森田は川田の意図がわからない。
なんで…なんで、そんな冗談めかして…俺をからかうんだ?
「あのなぁ〜!川田っ」
森田は、たまらずに口を開いて…。
「あ、…」
川田の顔が思いがけずほんの間近にあった。
冗談。
チュ…、と唇が離れてキスをされたのだと気づく。
「な…なに…」
「ほんの気まぐれや」
そう言いながら川田は笑っていなかった。
森田はドキドキと鳴る心臓と混乱した頭の中で…冗談だろ…というセリフを反芻していた。
「森田、わいはなぁ…」
それ以上の言葉は聞きたくない、聞けば…。
ぐいっ!
「んむっ…」
思わず森田は動いた。
川田のネクタイを引っ張って強引にキスで唇を塞ぎ、そのセリフを遮った。
「ぷは…っ」
攻撃的な口付けを離し、森田は眉をしかめて川田を見る。
「…ほんの気まぐれ、なんだろ?」
川田は吐息と共に喉まで出かかっていた言葉を噛み殺した。

(森田…わいは平井銀ニの代わりにはなれへんのか?)
(おい、これ以上は…冗談じゃ済まなくなるんだよ…)







気まぐれや冗談でやってる訳じゃない―了

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