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◆その他。短文






市川の目に残っている東京は関東大震災で焼け落ちる以前の帝都であった。
青い灯や赤い灯のネオンが煌めく大正ロマンに彩られたその風景を市川は鮮やかに思い出す事ができる。
彼にとって、…昭和、平成を経ても尚…東京は鮮やかな帝都であり続けるのである…。



キリキリと胡散臭い軋みを上げて車輪は止まつた。
市川はフロックコートの衿を立てながら貴賓車から降りる。
ここが奉天かい…存外寒いじゃないか。
杖を突き、空を仰ぐ。
奉天の冬は零下――。

南満州鉄道「奉天」駅頭ニテ



平山は、ピシリと糊の効いたシャツの衿を若干くつろげて、キューを構えた。
「は、ビリヤードなんて単なる幾何学上の計算だ…」
瞳を細め狙いを定める。
脳裏に浮かぶのは数式――
"方向"そして打つ"速度"…狂い無く定めてやれば…、
――確率は100パーセント。



ぬるり…妖怪の気配がする…丑三つ時で或る。
麻雀寺。曰く…その時間に立直を掛ければ必ず一発が出ると。
ハテ其レハ誰ガ云ウタ事ダッタカ。
立直!
一発!
来たぜぬるり…と。

ジトリ、ジトリ、寺の夜は血露に濡れて――魔の目が絡む牌の行方を伺う。








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あきゅろす。
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