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◆森田は海へ行った






「森田ーこの前、海に行った時の写真が出来上がったぜ」
フタバマンションに巽が訪ねて来たのは、夏の盛りの夜のことであった。
「ああ…有難うございます」
銀ニがあいにくの留守なので、森田は代わりに巽から大きな茶封筒を受けとった。
中身を改める。
流石は元ジャーナリストの巽が撮った写真。
上手く撮れている。
「ん…」
森田はその中の一枚の写真に違和感を感じた。
「これ…なんですかね…」
巽に見せる。
「こ、こいつは…!」

バタンッ!

巽は急いでフタバマンションの玄関を閉めて、リビングに森田を引っ張っていった。
「な、なんすか」
「森田…これは…心霊写真だぞ、何処からどう見ても」

(問題の写真/渚にて、巽写す)


「ちょ、どうするんですかっ?これ」
「参ったな…銀さん居ねえし」

(銀さんが居たところでどうにもなんないと思う…)

と、その時である、突然チャイムが鳴り響いた。

――ピンポーン

「うぉあ…っ!」

ビクゥッ!

森田と巽は同時に肩を揺らした。
「だ、誰だ!こんな夜ふけに…」
二人は、摺り足で玄関にソーッと近づく。
ガチャ…

「なんでチェーンごしなのさ」
呆れたように目を細めた訪問者は船田であった。
「船田さん…!実は」
かくかくしかじか…

「なるほどね…」
船田は、ふむふむと頷いて写真を手にとった。
そして…

ビリビリビリィッ…!

破いてゴミ箱に捨てた。

「ふ、ふ、ふ、船田さん…!」

森田は驚いたように船田を見た。
巽は、あーあ…という表情。

「すっきりしたでしょう」
船田は澄ました顔でソファーに座って足を組み、笑う。

森田はゴミ箱を見た。
船田は続けて言った。

「忘れましょう、忘れ去ることもまた、愛ですからね。この世界にはね、幽霊なんか居ません!」





アカギは、隣でクリームソーダをつつく平山を見た。
「平山幸雄、こないだ海で溺れたんだって?」
平山はクリームソーダに刺さったストローをくわえながら横目でアカギを睨む。
「お前と間違えられてヤクザに殺されかけたんだよ…!あと少し救助が遅ければ死んでいた…」
「ふーん」

ちゅー…

(このクリームソーダ、美味いな…)





おしまい

妹が「森田が海へ行く話を書いて」と言ったので書いてみました

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あきゅろす。
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