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04




『特定の世界としか繋がらない』事に気付いたという事はつまり、複数回穴をあける作業を繰り返したという事だ。
クライサの鋭い目がじっとロードを見る。
彼女はニィと笑い、口を開いた。

「ノアはね、アクマを統べる位置にいる。それがどういう事か、わかる?」

「アクマに命令出来るって事でしょ。それで?」

「イルミナがこっちの世界にきてすぐ、何があったぁ?」

何があった?
腕を引かれて扉を抜け、見知らぬ地に足を踏み入れて。
何が何だか混乱していたら、アクマが──

「……まさか」

クライサとイルミナは同時に目を見開く。
今の話の流れとして、彼女を襲ったアクマはロードもしくは他のノアの命令を受けていたのだろう。
では、何の目的で?

「混乱しきったまま死んでいく人間を見るのって、結構楽しいよねぇ」

イルミナが剣を抜く。
刃先をロードへ向け、その横でクライサが右手を握り締めた。

「……そういう事か」

彼女はイルミナだけでなく、クライサ達の世界の人間を多数引き入れては、アクマの群れに襲わせていたのだ。
戦う力の無い者はなす術無く死んでいったのだろう。
軍人であるイルミナ、錬金術師であるクライサだって、イノセンス無くしてアクマと戦う事は出来ないのだ。

「イルミナは運が良かったんだね。アレンに助けてもらったんでしょぉ?」

「あら、そんな事まで知ってるのね」

「見てたからね〜。まさかエクソシストだったとは思わなかったけどさぁ」

「ホント驚きだよ。おチビちゃんもそうだが、他の世界の人間がエクソシストになれるとはな」

そりゃそうだ、本人達が一番驚いているんだから。

そろそろ帰ろっか、と言ったロードが再びあの扉を出現させた事により、クライサとイルミナは身構えていた体勢を解いた。
元々、ここで戦闘になっては周りの人間を巻き込むからと一時休戦の申し出を受けたのだ。
帰ってくれるのなら、それを引き止める理由は無い。

開いた扉に足を向けたロードが思い出したように歩みを止め、後ろのティキに振り返った。

「ねぇティッキー。もしかしたら、エドもエクソシストなのかもしれないねぇ」






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