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「…しっかしまぁ…よく食べるよねー」

食堂にて。
前の席の少年に、素直に感嘆の声が漏れた。
クライサの隣に腰掛けるのはラビなので、自然、前の席についているのはアレンという事になる。
その彼は、ラーメン、ハンバーグ、シチュー、ピラフ、ラザニア、カレーライス、パスタ、その他諸々…加えてデザートにみたらし団子数十本等を、次々と口に運んでいた。
ちなみに、どれも量は普通のものより多めらしい。
その全てを美味しそうにたいらげていく姿は、作る側としてはいっそ気持ち良いぐらいなのだろうが、基本的には奇異の目で見られる事だろう。
無理もないが。
普通に驚くし。

「ほら、僕のイノセンスって寄生型じゃないですか。それで、ラビみたいな装備型の人よりも体力の消耗が激しいらしくて」

イノセンスというのは、唯一『アクマ』を破壊する事が出来るものの事だ。
その形状は様々で、それを武器加工したもの、『対アクマ武器』をエクソシストはそれぞれ所持している。

イノセンスには寄生型と装備型の二種類があり、アレンは寄生型で、生まれつき左手の甲に小さな十字架が埋まっていたのだそうだ。
そのため、アレンの左手は普通とは違う形と色をしており、それを気にしてか彼は戦闘時以外はいつも手袋をしている。

対して、ラビや他のエクソシスト達のほとんどは装備型だ。
強力な力を持つイノセンスを改良し、適合者とのシンクロをより容易にするために武器化。
そしてそれを装備する、というのが一般的なのだそうだ。
ちなみに適合者というのは、一つのイノセンスにつきたった一人だけが選ばれる、唯一それとシンクロし、その力を発揮出来る者──つまりエクソシストの事だ。

装備型の対アクマ武器を持つエクソシストは、アレンの言う通り、寄生型の者達よりも消耗が少ない。
そのため、ラビや他の者よりもアレンの食事量は当然のように多くなるのだろう。

(……本当、すごい食べっぷりだなぁ…)

これは一度くらい、料理を出す側になってみても面白いかもしれない。
全ての料理をたいらげてくれるのを見るのも楽しいだろうし、料理を出す速さで張り合ってみてもいいかもしれない。
……などと考えた数秒後、クライサはすぐさま頭を振って否定した。
どんなに早く料理を作ろうとしても、彼のバキューム的な食事スピードにはかなわないだろう。






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