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01




少年との出会いは突然だった。

いつものように伯爵殿から任された仕事をこなした後、扉を作って迎えに来たロードに挨拶を返したところで、彼は降ってきた。
そう、落ちてきたのだ。
真っ逆様に、人の頭上に。

残念ながらその気配を察する事が出来なかったティキの頭と、ちょうど少年の頭が衝突し、鈍い音が響くと共に二人は地面に伏した。
先に起き上がったのは少年の方で、痛ぇ痛ぇと騒ぎまくった後に不思議そうに辺りを見回した。
どうやら彼は、空から落ちてくる寸前までその場とはまったく違う場所にいたらしく、いくつかの質問にティキとロードが答えた後、異世界に来てしまったのだと結論を出した。
少年の突飛な発言と豪胆さをロードはすっかり気に入ってしまい、エドワードと名乗った彼を『エド』と呼び、行くあてのないのをいい事にホームへと連れ帰ったのだった。

「……なぁ、少年」

出会った瞬間から絶えず強い光を灯していた金眼は、今は呼ぶティキの姿を映さない。

「お前は、あのおチビちゃんの何なんだ?」

異世界から来たというエクソシスト。
クライサ・リミスク。
ロードが彼女の前で『エド』と口にした時の、彼女の動揺は半端ではなかった。
彼女の知る人物でない可能性があるとはいえ、名前を聞いただけであれだけの動揺を見せるとは。
エクソシストの天敵、ノアである自分との邂逅の際には大して表情を崩さず、平静を保っていたくせに。

「……目の前で少年を殺されたら、おチビちゃんはどんな顔するかな」

単純に興味があった。
ニヤリ、無意識に口端が上がる。
その声は、少年の耳には届かなかった。





17:地獄の業火





キィン、と甲高い音が響く。
イノセンスを纏わせた右腕で、クライサは振り下ろされたアクマの両腕を受け止めた。
そのまま力比べに移る前にうまく身を捻り、右の膝を相手の腹部へと叩き込む。
しかし、決まった、と確信を抱く前にアクマは後方にステップし、威力を半分以下に減らすとまたすぐに攻撃に移った。

「ちっ…!」

傷口に蟲を入れられる事が何より恐ろしいが、その能力と同じくらい厄介なのは速さだ。
このアクマの高速の攻撃は本当に厄介で、クライサもイルミナも防戦一方、攻めに転じられない。
辛うじて攻撃を避け、あるいは武器で受け止めているために今は傷を負わされてはいないが、それも時間の問題だろう。
機械の身体であるアクマとは違い、こちらは生身の人間だ。
体力の限界というものがある。






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