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01




元帥捜索の任務から帰還したクライサ達は、説明を求めて真っ直ぐコムイの執務室に向かった。
怒鳴り込む勢いで開いた扉のむこうに彼はいたのだが、その前のソファーに腰掛ける男に注目が集まる。

「おや、お帰りかね」

「…ルベリエ、長官…」

その姿を見るなり、リナリーが顔色を悪くして震え出した。
彼に怯えているようだ。
コムイの視線を受けて、アレンは事情はわからないがひとまず頷き、リナリーを連れて部屋から出て行く。
残った神田は一層不機嫌に眉を寄せ、ラビも険しい顔をし、クライサは男を睨むように見、イルミナはコムイに視線を向けた。

「コムイ、この人は?」

イルミナの問いに答えたのは彼ではなかった。

「自己紹介が遅れましたな。私は中央庁特別監査役、マルコム=C=ルベリエです」

ソファーを立った男はクライサとイルミナに向けて言い、軽く頭を下げる。
そこで彼女らは、帰還前にリナリーが言っていた『中央』の意味を理解した。
この黒の教団とは別に中央庁というものが存在し、おそらく教団はその下にあたる組織なのだろう。
そしてこの男はその中央庁から、何らかの理由でここにやってきた者──役職からして、何かもしくは誰かの監査に来たのだろうが。

「その顔は、大体察しがついたといったところですかな?」

ルベリエと名乗った男はニヤリと笑う。
嫌な笑みだ。
クライサは舌打ちを堪え、顔を顰めるだけに止めた。

「察しの通り、今回の監査対象はキミ達ですよ。クライサ・リミスク、イルミナ・ウェイクフィールド」




15:中央庁の男





「そりゃ他の世界から飛ばされてきたんだから経歴や素性なんか調べようがないし、かといってアクマまではいかないにしろノアのスパイだとか思われるなんてどういう事!?こっちは命懸けで闘ってやってるっていうのに何なのあの態度!!感謝されこそすれ、疑われるなんて冗談じゃない!しかもあの任務は結局囮でクロス元帥の捜索ですらない事の隠れ蓑的にしたっていうのに、謝罪どころか労いの言葉の一つも無し!?本当に何なのあの長官!!」

「……少し落ち着け」

修練場の隅で座禅をするクライサは、勢いよく両腕を上げると共にもぎゃーっと怪獣映画並みの叫びを上げた。
隣で同じように足を組む神田が溜め息をつき、嫌そうに顔を歪める。






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