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06




「その違和感とやらから、なんで囮にされたって考えが出てくるんだよ」

「甘いわねー。もっと頭を働かせなきゃだめよ、ユーちゃん」

「ユ……ッ!!」

イルミナさん、『神田をユーちゃん呼び』に三人撃沈しました。
顔を背けて口に手を当て、身を震わせて笑いを堪えているアレン。
腹を抱えて床を転げ回っているラビは、隠す気も無く笑い声を上げている。
クライサはアレンと同じように全身震わせながら、蹲って両手で口を押さえていた。
その三人の様子にリナリーが苦笑し、彼らを見た神田の何かがぶち切れた。

「……ッ!!」

六幻(未発動)が勢いよく振り下ろされる。
にこにこ笑顔のイルミナでなく、漸く体を起こしたラビに。

「Σうわぁ!!なんでオレ!?言ったのイルミナさんじゃん!」

「うるせぇ!!大人しく斬られやがれ!!」

「Σいやあぁ!!ユウ六幻発動しないでぇぇ!!」

「さて、囮にされたと思った理由だったね」

「このタイミングで再開するんですね」

「さすがクラちゃんね」

逃げながら助けを求めているラビと、彼を追いかけ回す物凄い形相の神田を無視して話を戻す。
尋ねた神田が話を聞かなくてどうするんだ、という気にもならなくはなかったが、別にいいかとアレンは彼女に集中した。

「あたしが囮にされたと思ったのは、そう考えた方が納得しやすいから」

エクソシストとイノセンスはアクマに狙われる。
ある場所に多数のエクソシストが向かうという情報を入手すれば、当然大群で襲いに行くだろう。
アクマの、ひいてはノアや伯爵の意識がそちらに向いている間は、他の者はより安全に任務を果たす事が可能だ。
元帥をさがすにしても、別の目的にしても。

「それじゃあクライサは、廃墟にいたアクマは私達を狙って来たって…教団がわざと情報を洩らしたって言うの?」

リナリーの問いに、あくまで推測だけど、と返した少女が腕を組む。
その眉間には深い皺が刻まれている。

「あたしだって、コムイがそんな指示出すとは思ってない。こんなの、エクソシストを道具として見てる奴にしか出来ない事だ」

「そうね、コムイには無理だと思うわ。……彼の上司からの指示を渋々、とかなら話は別だけど」

「うん。それならこの人数も納得出来るしね。あれぐらいのアクマが相手なら、戦える人数が多ければ多いほど全滅の可能性は低くなる」

やっぱりそうかなと自身の推測をほぼ確定にすると、リナリーがまさかと呟いた。
その顔はうっすら青白く見え、異変を感じたラビと神田が足を止めた。

「リナリー?」

「…もしかしたら…今回の任務、中央が…」

「中央?」



【H21/07/10】

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あきゅろす。
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