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05




「………な」

彼女の口から聞いた名は、覚えのありすぎるものだった。
同業者であり友人である少年。
鋼の二つ名を背負う彼を、この少女は知っているというのか。

「ん?おチビちゃん、知ってんのか?」

「ほらティッキー、もう帰ろぉ」

「ちょっと待っ…どういう事!?エドって、アンタら、あいつをなんで…!!」

ロードがティキの腕を引きながら、扉の中へと入っていく。
慌てたクライサが駆け寄りながら疑問をぶつけるが、答えは返らず、二人と共に扉は消えてしまった。
残された少女は堅く手を握り締め、悔しげに唇を噛んで俯いたその肩をイルミナがぽんと叩いた。

「まだあのエド君と決まったわけじゃないわ」

「……うん」

「戻りましょ。今後どうするにしても、まずは足場をしっかりしなきゃ」

「……うん、そうだね」

優しく背を押され、クライサは歩き出す。
ゆっくりとした足取りで、仲間達が待っているだろうホテルへ向けて。
目的地に着くまでの間、彼女が口を開く事は一度として無かった。










「戻ってこいだぁ?」

翌朝、予定通りクロスをさがしに目的の村に行くつもりで支度を終えたクライサは、アレン伝いにコムイからの指示を聞いて顔を歪めた。
どうやら、今朝ラビが無線ゴーレムを通じて本部に報告をしたところ、任務を中断して本部に帰還しろと言われたらしい。

「クロス元帥の捜索は?」

「なんか別の部隊が動向を掴んだって。オレらの仕事はもう終わったって言われたさ」

ふーん、と呟いてクライサが顎に手をあてる。
その顔には何かに納得したような表情が浮かんでいる。
リナリーからのどうかしたのという問いに、軽く首を振って手を下ろした。

「いや、囮にされたかなって」

「え?」

クライサのこの言葉に、そうねとイルミナが同意した。

今回の任務は、はじめから疑問点や違和感だらけだった。
曖昧過ぎる手掛かりを頼りに元帥を追い、その任務にあたる人数は多すぎる。
クロスをさがせ、というだけでその理由などの説明は無かったし、別動隊がいるとも聞かなかった。
第一、アクマの住み処になった廃墟に隠れているらしい、という情報自体が胡散臭い。
だって廃墟だ。
敵以外何も無いところに潜んで何をすると言うのだ。






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あきゅろす。
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