06
周囲にアクマがいたり、彼の意思で操作しない限りは右眼と見た目変わらないのだが。
その眼は、アクマの魂を現実に写し出し、半径数百メートルのアクマの存在を察知し、人混みに隠れたその姿を人間と区別出来る。
アクマと戦わなければならないエクソシストにとっては、彼のそれは便利な眼だと思われる。
だが、
右眼では白の世界を
左眼では黒の世界を
両眼で反転した世界を見る事を、クライサは望めない。
その眼を活用し、戦場に立っている彼は、なんて
(なんて、強いんだろう)
「僕はイノセンスを回収してきます。クライサと神田は…」
「アクマ共を全滅させるぜ。足引っ張るなよ、チビ」
「ご心配なく」
アレンはイノセンスの場所を知る探索部隊の元へ向かい、クライサと神田はこちらへ向かってくるアクマの群れを迎え撃つ。
「クライサ、気をつけてくださいね。あまり無理はしないように」
「わかってる。ありがとね、アレン」
先に駆け出したアレンを見送り、クライサは大きな溜め息をついた。
その横には、鞘から刀を抜いている神田。
「…行くぞ、六幻」
二本の指でなぞった刀身が、徐々に色を変えていく。
その眼は普段以上の鋭さを帯び、見えてきた敵の群れに向けられる。
「ミスしても助けねェからな」
「アンタ、サポートの意味わかってる?」
「あんな雑魚共相手に助けが必要なようなら、エクソシストになる資格はねェってんだよ」
「…ご忠告どうも」
彼女らの姿を発見したアクマの群れが、一斉に襲いかかってきた。
レベル1だけでなくレベル2のものも数体いる。
だが神田は怯む事なく、刀を構えそこに飛び込んでいった。
(さて、)
初仕事だ。
せっかくだし、目一杯暴れてやろうか。
右腕を胸元まで上げ、銀色に輝く手首の腕輪に目を落とす。
アクマは目前まで迫っている。
さあ、行こうか。
「イノセンス、発動…!」
【H19/06/13】
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