06 「……え……?え?」 弾丸がこちらに向かってきたところまでは確認出来た。 もう駄目かと思って、目を瞑った事も覚えている。 けれど自分は、こうしてしっかり生きているわけで。 光が消えたのを確認し、恐る恐る目を開く。 そこには、巨大な氷の塊に閉じ込められたアクマと、数個の弾丸。 「……え?」 さっきから同じ台詞しか言っていない気がする。 戸惑いを隠せない少女の足から、力が抜けた。 「クラ!!」 地面に座り込んでしまったクライサの傍らに、ラビが走り寄ってくる。 ブックマンは、アクマを閉じ込めた氷のキューブに歩み寄り、目を細めている。 「な…に……?」 何なんだ? コレは。 左腕に違和感を感じ目を落とすと、クライサと、それを見たラビすらも目を見開く。 腕輪があるだけだと思ったそこは、真っ赤な包帯状の何かにぐるぐる巻きにされていた。 手の甲の辺りから、肘付近まで。 恐る恐る触れてみれば、それは硬かった。 包帯を巻かれているかのように見えるそれは、予想に反して、鋼鉄のような硬さを持っている。 だが重さは無い。 重くない、というより、腕以外の重さを全く感じないのだ。 コレは、一体何なんだ? アクマを包む氷は? 自分は錬金術を使った覚えは無いし、何より彼女の術はアクマに効果がある筈が無い。 中で機能停止したアクマが、氷ごと粉々に砕け散ったと同時。 クライサは、意識を手放した。 【H19/04/10】 [*前へ] |