05 クライサを追おうとしていたアクマ達の前に、一人の青年が立った。 槌を手にした、ラビである。 「お前達の相手はオレさ。アイツを追わせるわけにはいかねぇ」 言って槌を構える。 彼の周囲には、火、木などの印が浮かんでいる。 「かかってこいよ、雑魚共。粉々にぶっ壊してやるさ」 槌の底に『火』の文字が刻まれる。 大きく振りかぶった槌を地面に打ち付ければ、半径数メートルにも及ぶ巨大な円と、『火』の印がそこに浮かび上がった。 円の中にいるアクマ達は、予期せぬ事態に困惑している。 困惑を断ち切り、ラビに銃口を向けるが 「劫火灰燼……火判」 青年の口が、笑みの形に歪む。 アクマ達の足元から、巨大な火柱が生まれた。 それはアクマ達を包みながら、大きな蛇へと姿を変える。 アクマ達に、逃れる術は無い。 炎の大蛇はその口を大きく開き、アクマ達を飲み込んだ。 「スゴイスゴイ」 「!」 悲鳴や叫び声が聞こえる中、楽しそうな声が耳に届く。 見上げると、レベル2のアクマが空中から彼を見下ろしていた。 「スゴイけど…残念」 私は止められない。 口を大きく歪めて笑うと、アクマはラビに背を向ける。 「!!しまっ…」 「あはははは!!イノセンスはもらうよーっ」 彼が行動を起こすより早く、アクマは飛び立った。 向かう先は、イノセンスを持った少女。 ラビもまた、アクマを追おうと駆け出す。 だが、残っていたアクマ達に邪魔され足止めされてしまった。 ブックマンへと目を向ければ、彼もラビ同様にたくさんのアクマにより足止めを食っている。 「くそ…っ!!」 早く、奴を追わなければ。 奴がクライサに追い付いてしまえば、間違いなく彼女は殺される。 (そんな事…させるわけにはいかねぇさ…!!) [*前へ][次へ#] |