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05




屋敷の四階にある部屋のうち、使われているのはミスティの自室のみのようだ。
他にいくつも廊下に並んでいる扉を開けても、誰かが使っている気配はない。
ただ、メイドのラミアンが毎日掃除をしているため、埃が溜まっていたり蜘蛛の巣が張っていたり…という様子は見当たらなかった。

(どうしようかなぁ…)

この綺麗な廊下に、有力な情報が落ちていてくれたなら、どれだけ楽だろうか。
不老不死かもしれない人物の謎解明、なんて、困難過ぎる任務ではなかろうか。

「そうか、試しに殺してみれば…」

「なに物騒なこと口走ってんだ」

冗談でも口にする事じゃないさ、と続けられた声に振り返ると

「ラビ」

三階の調査は済んだのか、そこには赤髪の彼が立っていた。
声同様、呆れた表情だ。

「何か手がかりはあった?」

「何も。クラの方は?」

「収穫無し。無理だよ、もう直接聞きに行こうよ」

「それこそ無理だろ」

あなた不老不死ですか。
はい、そうです。

もういいじゃないか、それで。
ハッキリ言って、なかなか進展しないこの任務はクライサ向きじゃない。
そろそろ飽きてきた。

「一旦部屋に戻るぞ。ユウと情報交換するさ」

「交換するほど情報無いと思うけどね…」









「ミスティのひいおばあちゃん?」

再びラビの部屋。
先程二階の一角で見た写真について話す神田に、クライサは首を傾げてみせる。
彼は腕を組み目を伏せ、ああ、と静かに頷いた。

「曾祖母だけでなく、母親も祖母もあの主人と同じ顔だったそうだ。全員を確認したわけではないが…」

「…なるほど。なら村人の勘違いって線も有り得るわけだ」

村の人々は、昔からこの屋敷に近付く事は少なかったらしい。
それならば、村人がたまに姿を見たという少女は、ミスティ一人の事ではなく、彼女の母親や祖母も含まれるのではないか?
それがラビの考えだ。
神田も、彼の意見を否定する様子はない。






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