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04




「これは…」

ラビの部屋を出て、暫く歩いた廊下の先。
角を曲がった先の、あまり人目につかない位置の壁に掛けられた写真が、神田の目にとまった。

写真に映っていたのは、長い髪の少女。
緩やかなウェーブのかかった美しい茶髪、可愛らしいピンクのドレスに身を包んだ姿は、ミスティ以外の誰にも見えない。
だが、見たところこの写真は古いものだ。
撮影したのは何十年も前の事だろう。

(まさかあの主人、本当に…)

「どうなさいました?」

突然背後からかけられた声に、一瞬肩が震える。

「……あんたは」

「アルバートと申します。神田様」

振り返った先、彼の五歩分ほど後ろに、使用人の男が立っていた。
何か仕事中だったのだろう、腕には書類やファイルなどが抱えられている。

「ああ、その写真が気になられたのですか?ミスティ様によく似てらっしゃるでしょう」

「…では、これは…」

「ミスティ様の曾祖母様ですよ。百年以上前に撮られたものだと伺っています」

聞くと、曾祖母だけでなく祖母や母も幼い頃はミスティそっくりだったのだという。
遺伝子の力というのは、全く、恐ろしい。

「…と申しても、私は奥様や旦那様にはお仕えしてはいないのですけれど」

実は、自分は二年程前にここにやって来たばかりなのだ、と苦笑した。
その頃には既にミスティの両親は亡くなっており、屋敷には彼女と一人の使用人しかいなかった。
その使用人というのが、先程いたメイド服の女性、ラミアンである。
まあ、彼女もここで働き始めたのは数年前で、昔の事はほとんど知らないらしいのだが。

(なるほど…という事は、仮に主人が不老不死でも、使用人は気付いていないって可能性もあるのか)

やはり手がかりを見つけるのは難しそうだ。
神田は盛大な溜め息を吐き捨てた。






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あきゅろす。
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