03
「ではお疲れでしょう。もし先を急ぐ旅でなければ、今日はここにお泊まり下さい。隣の村への案内は明日、必ず致します」
ミスティの事を調べたかったクライサ達にとって、この提案は好都合この上ない。
本当はこっそり忍び込もうかとも考えていたのだが、泊まらせてもらえるというのなら、遠慮なくその好意に甘えるとしよう。
「この屋敷には、私と使用人二人しか住んでいませんから、空き部屋はたくさんあります。お好きな部屋をお使いになって下さい」
「ありがとう!」
「お言葉に甘えさせてもらうさ」
「助かる」
四階建ての屋敷のうち、主であるミスティの部屋は最上階、使用人達の部屋は三階にあるらしい。
クライサ達は二階の客間をそれぞれ一部屋ずつ借り、荷物を置いてから一度ラビの部屋へと集まった。
「さて、どうする?」
「とりあえず、あの主人が本当に不老不死かを確認しないとな」
とは言うものの、どうやってそんな事を調べれば良いのだろうか。
本人に直接『あなた不老不死ですか?』なんて尋ねるわけにはいかないし、使用人達も同様だ。
「…まずは屋敷内を調べてみようか」
手がかりがあるとは正直思えないが、何もしないで明日が来るのを待つわけにもいかない。
核心まで迫れなくても、使用人やミスティから話を聞く、というのも一つの手だろう。
「はやまるなよ」
「わかってるよ。神田の方こそ、途中で諦めたりしないでよね」
クライサは四階を、ラビは三階を、神田は二階をそれぞれ分かれて調べる事にする。
収穫がある事を願って。
「おいチビ、俺の前をうろちょろするな。目障りだ」
「アンタがあたしの後にくっついてくるからいけないんでしょ。ついてこないでよ」
「(不安だ……)」
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