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01




「ねぇラビ、見て見て!リスがいる!」

鬱蒼とした森の中、楽々と山道を歩いていく少女は上機嫌な笑顔を後方の二人へ向ける。
赤髪の青年は微笑ましそうに表情を弛め、黒髪の青年は不機嫌そうに眉間に皺を刻んでいた。

「そーかそーか、良かったなー」

「………帰っていいか…?」





06:森中の屋敷





教団本部を発ち、列車を乗り継ぎ目的の村に着いた頃には既に日が落ちかけていた。
情報収集も兼ねて宿屋を訪ねようと思ったが、山奥のために観光客などほとんど来ないらしく、村には宿屋が一つも無い。
屋外にいた村人に声をかけたところ、幸い心優しい人だったおかげで家に泊めてもらえる事になった。

泊めてもらう礼にとクライサは食事の準備等を手伝い、その間にラビと神田は家の者から情報を集める。
村の近くの森には、確かに屋敷がある。
そこの主はまだ10歳そこらの少女だが、彼女は長い間その姿のまま暮らしている。
村人は森に入る事や屋敷のそばを通る事はあるが、その少女や屋敷の者と接する事は無い。
老いない少女は正直不気味だが、村人に危害を加える事は無いので、それほど気にしてはいないそうだ。

村で情報収集を試みても、あまり収穫は得られないようだ。
ひとまず今日は休もう、と眠りについたその翌日。

村を後にし、屋敷へ向かうべく森の中を進んでいく。
時折しか日の光が差し込まない程に鬱蒼とした木々、落下した太い枝や木の根で凸凹になった山道。
歩き始めて三時間ほど経った頃、漸く目的地が見えてきた。

「ねぇ、屋敷ってアレかな」

建物全体に木蔦の絡んだ洋館。
その土地だけは高い木が無いため日差しが建物を照らしており、村人から聞いていたおどろおどろしさは見当たらない。






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