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05




地下水道を通り、教団本部に戻った頃には既に夜の九時を過ぎていた。
神田は先に自室へ戻っていき、残ったクライサはアレンと共に、回収したイノセンスを持ってコムイの元へと向かう。

「ご苦労様。初の任務はどうだった?」

「問題ないよ」

偶然廊下で会ったリナリーも
仕事に励んでいる科学班メンバー達も
こっそりとサボっていたコムイも

『おかえり』

そう言って、クライサを迎えてくれた。

「ねぇ、アレン」

「はい?」

イノセンスを届けて、任務を終えて。
自室へ向かう廊下を進みながら、隣を歩くアレンに言った。

「あたし、異世界の人間なの」

「はい」

「あたしの帰る場所は、この世界には無いの」

「はい」

「あたしの家族は、この世界にはいないの」

「はい」

「…なのに」

『おかえり』と
迎えられて

「どうして…こんなに、嬉しいのかな」

彼らは、本来ならクライサと何の関わりもない人間なのに。
まだ、出会って一ヶ月も経っていないというのに。

何故彼らは、『おかえり』と言ってくれるのだろう。
何故家族のような笑顔を見せてくれるのだろう。
何故こんなに、懐かしい気持ちになるのだろう。

「ここが、僕らの『ホーム』だからですよ」

見上げた先で、アレンが笑った。
ここはホームで、彼らは、アレンは家族なのだと。

「……そっか」

(ここに、馴染んじゃいけない)

忘れちゃいけない。
自分は本来、ここにいてはならないのだ。
忘れちゃいけない。
自分の居場所は、この世界には無いのだ。

でも


嬉しかった。


「…ありがとう」

「いえいえ」

クスクスと笑ったアレンに、彼女もまた、屈託のない笑みを浮かべた。







「………で」

翌日。
前回同様に司令室へと呼び出されたクライサの両隣には、ラビと神田がそれぞれ立っている。

「今日もまた任務ってのは別に構わないんだけど…神田と一緒ってのが嫌」

「安心しろ。俺も同じだ」

「二人とも、仲良くするさ」

「無理だね」
「無理だな」

今度の任務も三人チーム。
向かう先は前回と同じような小さな村だそうだ。
それも山奥の、付近に大きな街が全く無い地の。






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あきゅろす。
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