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04




「それはそうと、さっきの町…人が全然いなかったんだけど」

腕輪を元の形に戻し、アレンを見上げて疑問を口にする。
先程アクマと戦闘になった町の事だ。
駅前であれだけ派手に暴れたというのに、町人は誰一人出て来なかった。
明らかに不自然ではないだろうか。

「探索部隊の人達が事前に声をかけていたみたいですよ。何があっても外に出ないでくれ、って。そのおかげで町人はみんな無事らしいです」

「そっか…良かった」

もしかしたら、自分達が到着する前にアクマによって殺されてしまったのかもしれない。
少なからずそういった考えがあったため、アレンの言葉に素直に安堵の息が漏れた。

「…モヤシといいチビといい、くだらねぇ奴ばっかだな」

呟くような神田の声に、二人の目が彼へと向けられる。
神田は窓枠に頬杖をついて外界を眺めていた。

「……なに」

「甘いって言ってんだよ。顔も知らねぇ他人の事ばっかり気にかけやがって」

何が気にくわないのか、窓の外に向けられた彼の目は鋭く、目付きは普段の倍は悪い。

「人として当然でしょ」

「綺麗事ばっか言ってんじゃねぇよ。結局は自分の事が最優先のくせに」

「それも当然だね」

「………は?」

サラリと告げられた言葉に、神田とアレンは目を丸くする。
クライサは何食わぬ顔で続けた。

「あたしはいつだって自分が大事だし、自分を犠牲にしてまで他人を助けたいとは思わない」

ここは本来クライサが住む場所とは別の世界なのだから、尚更だ。
何の関わりもない人間のために、危険を冒して戦いたいなんて思わない。

「でも、もしかしたら死んでいたかもしれない人達の心配ぐらいはする」

アクマにより殺されそうになったというなら、エクソシストである自分には関わりがある。
奴らを破壊する事が、今彼女に与えられている使命なのだから。

「あたしは、アレンみたいに優しくない。神田みたいに冷たくもない」

こちらの世界に馴染みきれてもいない。
中途半端な存在。
でも

「あたしはあたしのやり方で戦う。それをアンタにどうこう言われる筋合いはないよ」

「違いねぇ。俺がお前を心配してやる義理も無いしな」

中途半端でいい。
完全に馴染んでしまったら

今度こそ


帰れなくなるような気がするから。






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あきゅろす。
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