04 クライサに話があるからとコムイに言われ、司令室を追い出されたラビは自室に戻るため廊下を歩いていた。 隣を歩くイルミナは、畳んだ団服を抱え、イノセンスの剣を持って上機嫌だ。 「なあ、今更なんだけど、イルミナさんってクラとどういう関係なんだ?」 そういえば、彼女らが同じ世界の人間であるという事は聞いたものの、どういった関係かまでは知らされていなかった。 互いの態度からして相当親しい事ぐらいはわかるのだが、何しろ年齢差がある。 友達、と言われても何となく納得し難いし、共通点が見つけられない。 「どういう関係……んー、改めて聞かれると難しいわね。一応友達、なのかしら」 「?一応って?」 「共通点で言うなら、私もクラちゃんも軍人って事くらいなのよ。でも別にそれが親しくなるきっかけってわけでもないし、働いてる部署も違うから」 そういえばクライサが、以前自分の事を軍人だと言っていたなと思い出す。 とすると、イルミナの今の服装は彼女らの所属する軍の制服なのだろうか。 青軍服を着たクライサを想像して、似合わないなと内心で笑った。 「私はね、ロイ…クラちゃんのお兄さんと親しくしていたの。だからその関係で、あの子とも仲良くなったのよ」 「へー…っていうかアイツ、兄弟いたんだな」 「ええ。コムイと競い合えるくらいの兄馬鹿だけどね」 その様を思い出しているのか、呆れの混ざったような表情で苦笑する。 しかしその表情は穏やかで、コムイとリナリーのやりとりを見守っていたクライサのそれに似ていた。 ああ、そうか。 だから彼女は時々、あの兄妹を見て寂しげな顔をしていたのか。 「あの子も、あれでブラコンな節があるからね。元の世界にいるだろうお兄さんの事を思い出して、寂しくなる事もあるんじゃないかしら」 「……」 「あら、なんて顔してるのラビ君。別にあなたが思い悩む事は無いでしょ?」 「や、それはそうだけど…」 「むしろあなたのおかげで、あの子はこの世界で生き延びる術を見つけられたんだから。気にする事はないわよ」 クライサが初めてこの世界に来た時、アクマに襲われていた彼女を助けたのはラビだ。 そして事情を聞き、教団に連れてきたのもラビである。 確かに、クライサは彼のおかげで命を拾ったとも言えるし、こちらの世界で生活出来ているとも言える。 それは納得出来る。 (ただ、) 「私からも一つ、質問してもいい?」 [*前へ][次へ#] |