06 長過ぎる時を一人で生き、死ぬ事も許されなかったミスティ。 自分の正体を明かす事なく、主と同僚を失い、終わりの見えない道を選んだアルバート。 製造者の命に逆らえず、慕っていた主を手にかけたラミアン。 その苦しみはそれぞれのものであって、クライサの抱えるべきものではない。 彼らの苦しみを理解しようとしたところで、何かが変わるわけではないのだ。 (割り切って、先に進む) それが、今自分がすべき事。 成り行きで教団に身を置いてはいるが、自分の目的は元の世界に帰る事だ。 正直、この世界がどうなろうと知ったこっちゃない。 (この世界の人がどうなろうと…あたしには、関係無い) 仲間という名でくくられる者達には適当に笑顔を振り撒いておき、仕方がないから与えられた任務はこなす。 殺されるわけにはいかないからアクマを倒し、闘うのに邪魔だから一般人は避難させる。 世界を守らなきゃならないなんて意識、全く無い。 (だって、あたしは) 帰る方法を見つけたら、この世界に危機が迫っていようと、すぐに帰ってやろうと思っているから。 そうだ、忘れていた。 これでいいんだ。 この世界の誰かについて、自分がこんなに頭を悩ませる必要は無いんだ。 (この世界に) 心を置いていく必要は、無いんだ。 【H20/06/21】 [*前へ] |